2022年2月15日号
中京西部医師会と府医執行部との懇談会が令和3年10月29日(金)にWeb開催され,中京西部医師会から12名,府医から9名が出席。「新型コロナ対応への日本医師会に対する報道」,「医薬品等の欠品」をテーマに活発な議論が行われた。
〈注:この記事の内容は10月29日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございます。〉
新型コロナウイルス感染拡大期の日医への批判的な報道に対する府医の見解について質問があり,地区からはマスコミ対応の必要性が指摘された。
緊急事態宣言の発令が検討されている危機的な状況下において,また,人流を避け,会食や会合等への参加を控えるよう呼びかけられている中においては,府医としてもしっかりと身を引き締めて慎重に行動し,国民の信頼に応えるべくワクチン接種や今後の感染対策にしっかり対応していくことが重要であるとの考えを示した。
また,診療・検査医療機関の公表について,医師会の立場としては感染予防の観点から,あるいは日常診療を守るという観点から公表には慎重であるべきという考えで対応してきたが,マスコミからはネガティブな報道がなされ,オンライン診療の普及や新型コロナウイルス感染者の受入れに関しても医師会が反対していると一方的な報道があったと振り返り,いずれにせよ,これまで国民と我々とが努力して感染の波を乗り越えてきたことは間違いないとして,今後も第6波に向けてきちんと対応すべく,力を尽くしていきたいと意欲を示した。
新型コロナワクチン接種をできるだけ早く進めるという観点から歯科医師等に接種者を拡大するという政府からの提案に対し,日医が難色を示したと報道されたことについて,地区からは,開業医が既得権益を守るために反対していると国民に受け止められかねないとの懸念が示された。
府医としては,知識,経験,修練をもって医師のみが唯一,医行為が許されている業種であることを鑑み,タスクシフトが新型コロナウイルス感染拡大という緊急事態に乗じて無制限に行われることに危機感を示した一方で,府民が安心して接種を受けられるかどうかという観点から,実際には歯科医師が接種者になる可能性を考え,正しく接種が行われるよう府医役員数名が歯科医師に筋注の講習会を実施したことを報告した。現在,当初の政府目標であった1日100万回を上回る120万回以上の接種が行われ,京都府においては医師のみで実施し,高い接種率を実現させているとした上で,3回目の接種に向けて,改めて打ち手の拡大が検討されている中,実際に拡大することになった場合には,しっかりと研修を実施し,技術を伝達した上で安全にワクチン接種が進められるよう対応していく考えが示された。
国内製薬企業の不祥事を契機に後発品を中心とした多くの医薬品が欠品し,供給不足の状態が続いていることについて,今後の見通しや対策等について意見交換が行われ,府医からは国の対応等を中心に説明した。
医療用医薬品の供給に関しては,品質および安定供給の信頼性の確保に向けて,官民一体で製造管理体制の強化や製造所への監督の厳格化,市場流通品の品質確認検査等の取組みが進められており,医薬品の欠品や供給量が減少した際に製薬企業に報告を義務付ける制度の検討が開始されていることを紹介した。また,厚労省の対応として,2020年9月に医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議によるとりまとめが行われ,切れ目のない医療提供のために特に配慮を要する「安定確保医薬品」を選定し,製薬企業からの供給不安情報の事前報告等により早期対応に繋げる取組みが進められてきたことを説明した。
日医においては,かねてから後発品の企業数,品目数が多いことを指摘し,企業再編や品目数の絞り込みが最終的に流通改善や品質確保につながるとの見解を示していたが,今回の問題を受けて,後発品メーカーも公的医療を担う重要なステークホルダーであるとして,その役割の重要性を鑑みれば一般企業よりも高い倫理観が求められると指摘しており,供給再開時期や代替薬等に関する製薬企業からの情報提供が不十分との現状認識であるとした。今後の対応として,医療用医薬品の供給不足が生じる場合の対応スキームに基づき,製薬企業から情報提供がされた場合には日医ホームページにて情報公開するとともに,医療機関に対しては,市場占有率の高い品目が出荷調整や回収の対象となる場合には,同種同効薬についても通常どおりの供給が難しくなることが考えられるため,患者の適格性,長期処方の見直しや処方の必要性の検討を積極的に行うよう呼びかけていることを報告した。
日本ジェネリック製薬協会もコンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化,品質最優先体制の強化,安定確保の取組み,積極的な情報提供と開示,その他信頼回復策を提案していることを紹介した上で,府医としても,京都府の後発医薬品に関する会議や日医,近医連等の会議の機会を捉え,改めて製薬企業に対する医薬品の適正な管理や品質管理の徹底,コンプライアンスの徹底等,信頼回復のための取組みについて要望・発信していく考えを示した。
インフルエンザワクチンの供給について,製造効率が良く過去最大の供給量となった昨年に比べ,今年は製造効率が悪かったことと併せて,新型コロナワクチン製造の影響を受けて,ワクチン製造に必要なバイアル等材料の全世界的な不足もあり,供給量が昨年実績の7~8割程度となる見通しであると説明した。昨年に比べて供給ペースが遅れているため不足感は強いものの,全体として平成29・30年度と同水準の供給量が確保される見込みであることを踏まえ,各医療機関において接種件数を調整するよう呼びかけた。
支払基金と国保連合会双方における審査の平準化を図るために開催している「基金・国保審査委員会連絡会」の状況について解説するとともに,個別指導における主な指摘事項について資料提示した。
また,療養費同意書の交付(マッサージ,はり・きゅう)に関する留意点を解説し,慎重な判断と適切な同意書発行に理解と協力を求めた。