乙訓医師会との懇談会 11.18 乙訓医師会

「 マイナンバーカードの保険証利用,オンライン資格確認」,「医師偏在対策問題に対する今後の対応」,「在宅医療・介護連携支援センターの実情」について議論

乙訓医師会と府医執行部との懇談会が11 月18 日(月),乙訓医師会で開催され,乙訓医師会から18 名,府医から6名が出席。「マイナンバーカードの保険証利用,オンライン資格確認」,「医師偏在対策問題に対する今後の対応」,「在宅医療・介護連携支援センターの実情」をテーマに活発な議論が行われた。

マイナンバーカードの保険証利用,オンライン資格確認について

日医の見解,オンライン資格確認導入によって考えられる変化と課題について解説(本誌2.15 号P4~5参照)。

医師偏在対策問題に対する今後の対応について

医師偏在対策問題について

厚労省が2019 年4月に示した「医師偏在指数」は地域の実情が反映されていないだけでなく,指標算定に利用したデータと算出根拠が明らかにされておらず,地域の実情と大きく乖離し,信憑性に欠けるとして,京都府においては,「医師確保計画に係る『医師偏在指標』及び『新専門医制度シーリング』に対する要望」を厚労省に提出した。

また「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」で,外来医師多数区域においては,新規開業者に対して,地域で不足する外来医療機能を担うことが求められ,新規開業届出様式には,これに合意する記載を設けるとともに, 協議の場(地域医療構想調整会議)にて合意の状況を確認することが定められた。これについては, 全国各地で「開業規制ではないか」との声が出たが,「強制力を持って,医師の開業を制限するものではない」ことを厚労省が明言している。

京都府では,地域の実情を考慮した「医師確保計画」の策定に向け,現在,審議中であるが,地域医療構想調整会議での検討を通して,医師偏在に係る地域の実情を京都府や厚労省に伝え,改善を求めるとともに,新規開業医に対して地域の医療ニーズが把握できるように「京都健康医療よろずネット」等を活用した地域の医療ニーズの「見える化」に取組んでいく。

地区医としては,新規開業医に対して医師会が働きかける機会が増える効果が期待できることからも積極的に関与していただきたい。また,府医としては,かかりつけ医機能の充実という側面からも,新規開業者には在宅医療への積極的な関与のために府医主催の在宅医療等の研修会への参加を求めていきたい。さらに,新規開業者を支援していくための取組み(医療コンサル事業)も視野に入れて検討していく。

在宅医療・介護連携支援センターの今後について

在宅医療・介護連携支援センターの概要

平成26 年の介護保険法改正により,在宅医療・介護連携推進事業が地域支援事業に位置付けられ全国の市区町村が中心となって取組むこととなった。京都市では平成29 年から順次,市内を8つの区域に分け,「在宅医療・介護連携支援センター」が設置されており,京都市外においても今後,同様の取組みが増加していく見込みである。各市町村によって取組み内容に相違があるものの,地域の医療・介護資源情報の把握や医療・介護関係者の情報共有支援など,地域に合わせた様々な取組みが行われている。

乙訓地域では,これまで先進的に在宅医療と介護との連携に取組んでこられ,すでに連携支援センターが行うべき業務の多くを実践されている。このように地区で形成してきた在宅医療・介護連携の取組みが,法改正により阻害され,事業が後退することがないよう府医としても行政に提言していく。

医師会としての災害時要配慮者対策について

行政の動きと府医の見解

現在,災害時の医療体制の構築については,行政をはじめ様々な方向で検討が行われている。万が一,災害が発生した際はいかに,平時の医療体制に戻すかが課題であるが,そのためにも要配慮者支援も含めた行政,関係機関間の連携・情報共有が重要である。地域によって発生しやすい災害や医療資源などが異なることから,地域の特性に応じた,災害への備えを関係機関が共有し,平時から備えておくことが必要であり,この時,地区医の意見が重要となる。

府医としては,今年の5月に京都府民・市民を対象とした「京都府医師会健康講座」にて「自然災害発生後の医療対応」をメインテーマとして, 災害時のJMAT の対応などについて講演を行った。同講座の様子は,府医ホームページで公開している。

災害時の訓練は実施しているものの,医師の参加者数が少ない傾向にある。また,災害時の連絡網もあるものの,機能していない。

現在は「チームで訓練していく」重要性を周知しており,少しずつ実働時間的になりつつある。このまま,開業医や地域住民(特に中高生)も巻き込み,地域全体で災害時に対応できるような体制づくりを目指していく。

2020年3月1日号TOP