2022年5月1日号
綴喜医師会と府医執行部との懇談会が1月22日(土)Webで開催され,綴喜医師会から13名,府医から8名が出席。「新型コロナウイルス感染症患者の自宅療養者への対応」,「産業医研修会のオンライン開催」,「医薬品の供給不足」をテーマに活発な議論が行われた。
〈注:この記事の内容は1月22日現在のものであり,現在の状況とは異なる部分がございます〉
第5波において急増した自宅療養者への対応について意見交換が行われた。
かかりつけ医による自宅療養者の健康観察を行うにあたり,現状ではかかりつけ医が発生届を提出した後,保健所・行政から情報のフィードバックがなく,その患者の状態や療養先が全くわからない状況にあると問題点を指摘。今後の体制構築に向けて,保健所と医療機関との双方向の情報共有が不可欠であるとした上で,処方薬が必要な場合に院外調剤薬局との協力体制の構築,また,院内処方の医療機関においてはどのように薬剤を送達するか等を課題に挙げ,陽性判明日から切れ目のない健康管理により早期に症状悪化を把握することが重要であるとした。
新型コロナウイルスの感染拡大により産業医研修会の実施が困難になっている状況を受けて,日医においても「日医Web研修システム」を用いた遠隔型産業医研修の検討が進められており,Webでの産業医研修会に必要な顔認証システム等の開発の都合上,完成にはもう少し時間を要することを報告した。
府医では従来から日医に対して遠隔型の研修やeラーニングの導入を検討するよう要望してきたが,改めて日医にeラーニングの必要性を訴えたところ,日医からは,厳格な運用が求められる認定産業医制度において,eラーニングの導入は制度の大幅な見直しとなるため慎重な検討が必要とした上で,法改正時等にeラーニング等による研修を産業医に義務付けることは選択肢となり得ると,以前に比べると前向きな回答が得られたことを報告した。加えて,コロナ禍により有効期限内に必要な単位を充足できなかった場合であっても,当面の間は認定産業医とみなし,引続き活動することを可能とする通知が発出されていることを説明した。
地区からは,地元企業から産業医の需要があるにもかかわらず,地区内に産業医資格を有する者が少なく,新規で産業医資格を取得するにも基礎研修の機会が少ない現状において,座学はeラーニングで代用するなど研修機会の充実化を要望する意見や,単に必要な単位数をクリアするだけなく,研修内容の充実化を図り,法改正の内容等,産業医活動をする上で不可欠な項目を含むeラーニングの定期的な受講を義務付けることで産業医の質の担保を図るべき,といった意見が上がった。
後発品を中心とした多くの医薬品の供給不足の状態が続いていることについて,厚労省の対応や日医の現状認識等について情報共有を行った。(※左京医師会との懇談会 本号P.7参照)
地区からは,品質管理等は当たり前に行われているものと考えられていたが,同様の事態が繰り返されており,製薬会社の体制そのものに問題があるのではないかとの意見が挙がった。
府医より,ジェネリック医薬品は,薬価を下げるために国策として推進され,品質,有効性,安全性が先発医薬品と同等であるとの説明を信じて,服用する患者の経過を見ながら医師の経験則でそれを受け入れてきた経緯があるとした上で,以前から日医もジェネリック医薬品の評価をきちんと行うよう厚労省に求めてきたが,結果として今回のような製薬企業の不祥事と,それに起因する医薬品の供給不安定が生じたと説明。今後,このような事態が繰り返されないよう,患者の安全を守る観点から,質の確保に向けた取組みを求めていく考えを示した。