令和4年度第1回 地区会長・感染症対策・予防接種担当理事連絡協議会を開催

 5月25日(水),府医会館からWeb会議の形式で開催し,353名の参加を得た。

1.新型コロナウイルス感染症に係る高齢者施設等における医療提供体制の構築について

 角水府医理事より高齢者施設等におけるコロナ陽性者に対する訪問診療・健康観察等の協力について京都府から依頼があったことを報告。加えて,京都市からは自宅療養者に対する医療支援について協力依頼があったことを説明。高齢者施設等の医療提供体制については,京都府全域においても下記の事業が実施される予定である。

  • 施設内療養支援協力金の支給
  • 訪問診療等協力医療機関への協力金の支給
  • 往診コーディネートチームの設置
  • 看護師の確保,派遣
  • 施設内感染専門サポートチームの体制強化

 京都市における自宅療養者等への速やかな医療支援については,自宅療養中に体調が悪化した場合や,かかりつけ医がいない場合,かかりつけ医の診療が不可能な場合についてのコーディネート体制を説明。また,訪問診療等体制拡充事業協力金についても概要を説明し,5月28日(土)に開催する京都在宅医療戦略会議にて京都府・京都市から説明がある旨を伝えた。

2.京都府における新型コロナワクチン追加接種(4回目接種)の全容とワクチンの配分について

 京都府健康福祉部ワクチン接種対策室より厚労省提供資料を用いて説明がなされた。
 4回目接種の目的は,感染予防,発症予防ではなく,重症化予防であり,対象者が①60歳以上の方,②18歳以上60歳未満で基礎疾患を有する方,その他重症化リスクが高いと医師が認める方に限定されたと説明。使用ワクチンは,ファイザー社,モデルナ社を使用。3回目接種から5か月以上空けることを必要とし,5月25日より接種が開始される。令和4年5月末時点でノババックス,アストラゼネカ社製は使用不可となっている。
 60歳未満の基礎疾患を有する方への接種券送付方法について,国が示す送付例を説明した上で,各市町村により送付方法は異なるが,府民に広く周知ができるように配布する予定であるとした。
 ワクチンの配分については全配分量の約8割がモデルナ社製で配分され,ファイザー社製だけではすべての接種希望者に対応できないため,モデルナ社製での接種協力が求められた。接種ピークは7月・8月になる見込み。
 若年層の3回目接種については,現在でも接種者数が伸びており,今後も引続き行政が集団接種会場での接種を継続し,接種者の増加を見込んでいる。

3.京都市における新型コロナワクチン追加接種(4回目接種)とワクチンの配分について

 京都市保健福祉局医療衛生企画課新型コロナワクチン予防接種事業担当より説明がなされた。新型コロナワクチンの接種実施期間は国が定める「新型コロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種実施要領」において,令和4年9月30日までとなっており,今回,新たに始まる4回目の接種対象者数は,5月に4,000人(推定),6月に30,000人,7月・8月でピークを迎え,推定で355,000人が接種予定となっている。
 京都市において,接種券は5月31日頃から手元に届く予定で,3回目の様式と同様となっている。高齢者施設入所者は6月中旬から接種を予定しており,個別医療機関においては6月20日頃から接種が開始される予定。ワクチンの配分については主にモデルナ社ワクチンを用い,4回目接種分を6月中旬から順次供給予定とし,希望量を上乗せする。ファイザー社ワクチンは上乗せは行わず発注方法,配送曜日も従来どおりの方法とする。
 間違い接種については,接種間隔間違い,対象年齢の誤認などが増加しており,複数人での確認作業を行い,接種誤り発生防止に努めていただきたいと呼びかけた。
 接種登録については引続きVRSでの登録について協力を求めるとともに,入力支援を希望される医療機関に対しては京都市による入力支援を行うのでお申し出いただきたいとした。

<質疑応答>

①妊婦については重症化リスクが高いがハイリスク者リストに入っていない。市民への情報提供は医療機関が積極的にアナウンスすべきなのか?

⇒QA2.に重症化リスク対象者となっている。広報については速やかに検討する。

②喫煙・運動不足(肥満)については,日本ではBMI:25が治療対象となっているが。

⇒どこまで広げたらいいのか判りかねるが,総合的に判断しリスクがあると認められたら接種対象と判断される。記録に残しておいていただきたい。

③高齢者施設では誰が接種するのか?

⇒3回目接種と同様,施設側と調整いただき,嘱託医・訪問診療を実施する医師等が接種。

④集団接種会場において身体不活動(運動不足)を理由として瘦せている方の訴えがある場合に接種可能と認めないとトラブルになりかねない。

⇒QAを基にすると,現状では訴えがあれば断るのは難しいと思われる。不安と思われる部分の問診,生活習慣病の聞き取りを行っていただきたい。

4.武田社ワクチン ノババックスについて

 京都府健康福祉部ワクチン接種対策室より説明。
①ノババックスワクチンについて
 国内(武田薬品工業(株)光工場)で生産・流通される組換えタンパク質ワクチンで初回接種(1回目・2回目)と第1期追加接種(3回目)で使用し,追加接種の場合は6ヶ月間隔で接種するよう注意が必要。4回目接種は使用不可となっている。
 発注については医療機関が必要量をV-SYSに直接入力し,国からの直送となる。交互接種にも対応可能。
②ノババックスワクチンの医療機関への配分について
 第3クールからの発注が可能で6月20日,27日の週以降の配送となるが全国でそれぞれ200万回分となる。
 対象者はそれほど多くならない見込みであるが,府民からの問い合わせも日に数件あり,医療機関においては,希望者に対し接種の機会を設けていただきたい。
 V-SYSの操作については,医療機関情報の欄でノババックスの取り扱いを登録すると市町村から承認が得られるので予め登録いただきたい。

5.新型コロナワクチンの間違い接種について

 禹府医理事より間違い接種について報告がなされた。特に小児(5~11歳)についての接種誤りが全国的に多くみられ,府内では小児に対する成人用ワクチンの接種の報告が19件あり,中には1医療機関で同様の間違いが複数回起こった事例が見られたことや,接種間隔の間違いが府内で2件あったことを紹介した。ワクチン選択の誤りについてはキャップの色に留意し,小児用・成人用の区別をすることに加え,コロナワクチン以外のワクチンの同時接種はできない旨,注意喚起がなされた。
 また,小児用ワクチンの希釈に際して,成人用の希釈量である1.8mlで希釈してしまい,吹きこぼれて廃棄となった事例も報告された。
 かねてから,接種済みシリンジでの誤接種が頻回に起こっていることから,リキャップの禁止,トレーに戻さず廃棄ボックスへ廃棄する等,事故防止の対策を講じるよう呼びかけた。
 ワクチンの保管についても小児用ファイザーは冷凍不可で冷蔵のみであることと,医療機関での保存期限が超えたものについては使用できないため,保管方法と保管可能期間を再度確認するよう依頼した。最終有効年月日まで使用できると勘違いされているケースが散見されるが,これは超冷凍で保管されていた場合の有効期限であり,医療機関に搬入されたら冷凍で14日間,その後,冷蔵で30日間であることを再確認するよう呼びかけた。
 保管期限管理には配送時に配布される「情報提供シート」への記入を確実に行い,管理することが重要であると説明した。

6.欧州および米国における小児の原因不明の急性肝炎の発生などについて

 京都府健康福祉部健康対策課より情報提供がなされた。
<小児の原因不明の急性肝炎>
 一部の症例でアデノウイルスが検出され,我が国でも本事例の感染症サーベイランスおよび積極的疫学調査を実施している。5月19日時点で累積件数は24件,このほか,現在,地方衛生研究所において7検体の精密検査中である。
<サル痘>
 2022年5月以降,欧州・北米で疑い例が報告。これを受け厚労省より5月20日付事務連絡において,疑い例があれば保健所への相談・届出を求めるなど,対応について示された。

 閉会にあたり,谷口府医副会長より,診療・検査医療機関,宿泊施設への出務など,会員各位の多大なご協力に感謝の意を表するとともに,陽性者数が高止まりの状況が続く中,重症者,死亡者が出ないよう,高齢者と基礎疾患のある方への4回目接種について協力を依頼した。

2022年6月15日号TOP