地区だより

福知山医師会

会長 井土  昇

 福知山市の北西に大江山という山があり、そこには昔、鬼が住んでいたという伝説があります。今回は、その伝説の一つである酒呑童子(しゅてんどうじ)伝説についてのお話です。

 時は平安朝、一条天皇の頃である。西暦1000年頃、京の都は栄えていたが、それはほんの一握りの摂関貴族たちの繁栄であり、世の中は乱れに乱れ民衆は社会不安におののいていた。そんな世の中で、酒呑童子は王権に叛き、京の都から姫君たちを次々にさらったのである。
 姫君たちを奪い返し、酒呑童子を退治するため大江山へ差し向けられたのが源頼光(みなもとのらいこう) を頭に藤原保昌(ふじわらのやすまさ)ならびに四天王の面々坂田公時(さかたのきんとき)、渡辺綱(わたなべのつな)、卜部季武(うらべのすえたけ)、 碓井貞光(うすいのさだみつ)ら6名である。 頼光ら一行は山伏姿に身をやつし、道中、翁に化けた住吉・八幡・熊野の神々から「神便鬼毒酒(じんべんきどくしゅ)」(神の力で鬼が飲むと動けなくなるというお酒)を与えられて道案内をしてもらい、途中、川のほとりで血のついた着物を洗う姫君に出会う。一行は、 姫君より鬼の住処を詳しく聞き、酒呑童子の屋敷にたどり着く。 酒呑童子は頼光一行を血の酒と人肉で手厚く歓待するが、頼光たちは例の酒を童子と手下の鬼たちに飲ませて酔い潰し、童子を討ち、手下の鬼共も討ち果たす。捕らわれている姫君たちを救い出し、頼光たち一行は都へ帰るのである。討ち取られた酒呑童子の首は、王権に叛いたものの見せしめとして川原にさらすため、持ち帰られるが、途中、丹波・山城の国境にある老の坂で急に重くなって持ち上がらなくなり、そこで葬られたのである。

頼光たちに切られる酒呑童子

 大江山の鬼伝説を紹介するため、大江山の麓には1997年に鬼の交流博物館が建てられ、2019年には世界鬼学会主催の「鬼シンポジウムinふくちやま」が開催されました。

左手前:鬼のモニュメント、
右 奥:鬼の交流博物館

 大江山のあちこちに全13体の鬼の像が鎮座。
 呑鬼(のんき)、元鬼(げんき)など、1体1体に名前がついている。

一般社団法人 福知山医師会

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会 長:井土  昇
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