保険だより – 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に係る労災請求について

 新型コロナウイルス感染症に係る罹患後症状の労災補償における取り扱い等について,厚労省労働基準局補償課長より,下記のとおり取り扱いが示されましたので,お知らせします。
 具体的には,当該感染症に罹患した一部の被災者は,感染症が消失した後であっても,呼吸器や循環器,神経,精神症状等に係る症状(以下,「罹患後症状」という)がみられる場合があることから,従前より罹患後症状についても労災保険給付の対象とされていますが,「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 別冊罹患後症状のマネジメント(第1版)」が取りまとめられたことを踏まえ,本感染症に係る罹患後症状の労災補償における取り扱いを明確に示した旨の周知となっています。

▷基本的な考え方
 本感染症については,感染性が消失した後であっても,呼吸器や循環器,神経,精神等に係る症状がみられる場合がある。新型コロナウイルス感染後のこれらの症状については,いまだ不明な点が多く,国内における定義は定まっていないが,WHOの定義の「postCOVID-19 condition」を「COVID-19後の症状」と訳した上で,診療の手引きでは「罹患後症状」とされた。
 これらの罹患後症状については,業務により新型コロナウイルスに感染した後の症状であり療養等が必要と認められる場合は,労災保険給付の対象となるものであること。

▷具体的な取扱い
(1)療養補償給付
 医師により療養が必要と認められる以下の場合については,本感染症の罹患後症状として,療養補償給付の対象となる。

ア 診療の手引きに記載されている症状に対する療養(感染後ある程度期間を経過してから出現した症状も含む)

イ 上記アの症状以外で本感染症により新たに発症した傷病(精神障害も含む)に対する療養

ウ 本感染症の合併症と認められる傷病に対する療養

(2)休業補償給付
 罹患後症状により,休業の必要性が医師により認められる場合は,休業補償給付の対象となる。
 なお,症状の程度は変動し,数か月以上続く症状や症状消失後に再度出現することもあり,職場復帰の時期や就労時間等の調整が必要となる場合もあることに留意すること。
(3)障害補償給付
 診療の手引きによれば,本感染症の罹患後症状はいまだ不明な点が多いものの,時間の経過とともに一般的には改善が見込まれることから,リハビリテーションを含め,対症療法や経過観察での療養が必要な場合には,上記のとおり療養補償給付等の対象となるが,十分な治療を行ってもなお症状の改善の見込みがなく,症状固定と判断され後遺障害が残存する場合は,療養補償給付等は終了し,障害補償給付の対象となる。

▷(参考)厚生労働省ホームページ掲載のQ&A及びリーフレットの周知
(厚生労働省ホームページ)
 ○新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け) 5 労災補償
  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html#Q5-1
 ○新型コロナウイルスに関するQ&A(企業(労務)の方向け) 7 労災補償
  https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q7-1
 ○リーフレット「職場で新型コロナウイルスに感染した方へ」
  https://www.mhlw.go.jp/content/000698300.pdf

2022年7月1日号TOP