2022年7月1日号
令和4年4月診療報酬改定に関する「Q&A」(その5)
◇厚生労働省疑義解釈資料(その10・12/6月1日・7日付)
〔外来感染対策向上加算,感染対策向上加算〕
Q1 「A000」初診料の注11及び「A001」再診料の注15に規定する外来感染対策向上加算(以下単に「外来感染対策向上加算」という。)並びに「A234-2」の「2」感染対策向上加算2及び「3」感染対策向上加算3の施設基準において,「新興感染症の発生時や院内アウトブレイクの発生時等の有事の際の対応を想定した地域連携に係る体制について,連携する感染対策向上加算1に係る届出を行った他の医療機関等とあらかじめ協議されていること」とされているが,有事の際の対応を想定した地域連携に係る体制が保健所等の主導により既に整備されており,連携する感染対策向上加算1に係る届出を行った他の医療機関等が当該体制に参加している場合,当該体制に参加することをもって上記の施設基準を満たすものと考えてよいか。
A1 差し支えない。
Q2 外来感染対策向上加算及び「A234-2」感染対策向上加算の施設基準において,「1週間に1回程度,定期的に院内を巡回し,院内感染事例の把握を行うとともに,院内感染防止対策の実施状況の把握・指導を行うこと」とされているが,
① 感染対策向上加算においては,院内の巡回は施設基準で定められている感染制御チームの構成員全員で行う必要があるのか。
② 院内の巡回は,毎回全ての部署を回らなければならないのか。
A2 それぞれ以下のとおり。
① 全員で行うことが望ましく,少なくとも2名以上で行うこと
② 必要に応じて各部署を巡回すること。なお,各病棟については毎回巡回することとするが,耐性菌の発生状況や広域抗生剤の使用状況などから,病棟ごとの院内感染や耐性菌の発生のリスクの評価を定期的に実施している場合には,少なくともリスクの高い病棟を毎回巡回することとし,それ以外の病棟についても,巡回を行っていない月がないこと。患者に侵襲的な手術・検査等を行う部署についても,2月に1回以上巡回していること。
無床診療所の場合は,各診察室については毎回巡回するとともに,診察室以外の場所についても,少なくとも月に一度は巡回すること。
Q3 「A234-2」の「1」感染対策向上加算1の施設基準における「抗菌薬の適正な使用を目的とした院内研修」とは,誰を対象として行うのか。
A3 医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師など,抗菌薬使用に関する業務に従事する職員を対象とすること。
Q4 「A234-2」の「1」感染対策向上加算1について,「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和4年3月31日事務連絡。以下「3月31日事務連絡」という。)別添1の問8において,「新興感染症の発生時等に,都道府県等の要請を受けて感染症患者を受け入れる体制」は,具体的には「現時点では,新型コロナウイルス感染症に係る重点医療機関が該当する」ことが示されたが,新型コロナウイルス感染症に係る重点医療機関であった医療機関が,地域の医療提供体制の観点から,都道府県の判断により一時的に協力医療機関に変更された場合であって,都道府県の要請により速やかに重点医療機関として再度指定を受ける体制にあるときは,上記の体制を有するものと考えてよいか。
A4 よい。ただし,この場合は,自治体のホームページにおいて,3月31日事務連絡別添1の問11①の内容に加え,当該医療機関が重点医療機関として指定を受けていた期間及び都道府県の要請により速やかに重点医療機関として再度指定を受ける体制にあることを公開する必要があること。
〔電子的保健医療情報活用加算〕
Q5 「A000」初診料の注14等に規定する電子的保健医療情報活用加算の施設基準に係る取扱いについては,「当該基準を満たしていればよく,特に地方厚生(支)局長に対して,届出を行う必要はないこと」とされているが,医療機関においてオンライン資格確認の導入が完了した場合,その他の算定要件を満たせば,導入日から当該加算を算定可能か。
A5 可能。
なお,オンライン資格確認の導入完了については,
別紙(厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000760048.pdf)(略)を参照されたい。
〔急性期充実体制加算〕
Q6 「A200-2」急性期充実体制加算の施設基準における「入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制」について,院内迅速対応チームの医師及び専任の看護師は,「A300」救命救急入院料,「A301」特定集中治療室管理料,「A301-2」ハイケアユニット入院医療管理料,「A301-3」脳卒中ケアユニット入院医療管理料,「A301-4」小児特定集中治療室管理料,「A302」新生児特定集中治療室管理料,「A303」総合周産期特定集中治療室管理料及び「A303-2」新生児治療回復室入院医療管理料において常時配置が求められている医師又は看護師が兼任することは可能か。
A6 不可。
〔報告書管理体制加算〕
Q7 「A234-5」報告書管理体制加算の施設基準における「報告書管理を目的とした院内研修」とは,誰を対象として行うのか。
A7 報告書確認対策チームの構成員のほか,患者を診療する医師,画像診断部門,病理診断部門又は医療安全管理部門の職員など,報告書管理に関する業務に従事する職員を対象とすること。
〔データ提出加算〕
Q8 令和4年度診療報酬改定において,データ提出加算に係る届出を行っていることが施設基準に追加された入院料(※)について,新規に医療機関を開設し,診療実績がないため,データ提出加算に係る基準を満たすことができない場合は,当該入院料を算定できないのか。
A8 新規開設の医療機関については,様式40の5(データ提出開始届出書)を届け出ている場合に限り,必要なデータの提出を行っていなくても,当該様式を届け出た日の属する月から最長1年の間は,当該入院料のその他の施設基準を満たしていれば当該入院料を算定可能とする。なお,1年を超えて様式40の7(データ提出加算に係る届出書)の届出が行われない場合には,他の入院料への変更の届出が必要である。
なお,これに伴い,「疑義解釈の送付について(その4)」(平成30年5月25日事務連絡)別添1の問4は廃止する。
〔早期栄養介入管理加算〕
Q9 「A300」救命救急入院料の注9,「A301」特定集中治療室管理料の注5,「A301-2」ハイケアユニット入院医療管理料の注4,「A301-3」脳卒中ケアユニット入院医療管理料の注4及び「A301-4」小児特定集中治療室管理料の注4に規定する早期栄養介入管理加算(以下単に「早期栄養介入管理加算」という。)については,「入室した日から起算して7日を限度として250点(入室後早期から経腸栄養を開始した場合は,当該開始日以降は400点)を所定点数に加算する」こととされている。
入室後早期から経腸栄養を開始した場合,250点ではなく400点を加算できることとなるが,経腸栄養を開始した後,経口摂取に移行した場合の当該加算の算定については,どのように考えればよいか。
A9 経口摂取に移行した場合においても継続して400点を算定可能。
Q10 早期栄養介入管理加算について,「経腸栄養開始後は,1日3回以上のモニタリングを行い,その結果を踏まえ,必要に応じて計画を見直すとともに栄養管理を実施」することとされているが,患者が経口摂取を開始できるまでに回復した場合であっても,1日3回以上のモニタリングを実施する必要があるか。
A10 経口摂取を開始した場合であっても,当該患者に対するモニタリングを1日3回以上実施する必要がある。
〔一般病棟用の重症度,医療・看護必要度〕
Q11 「一般病棟用の重症度,医療・看護必要度に係る評価票 評価の手引き」中<一般病棟用の重症度,医療・看護必要度Ⅰ>の8のAにおける「3 注射薬剤3種類以上の管理」について,「厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について」において示している「成分名」が同一である場合には,1種類として数えること。また,健康保険法第85条第1項及び高齢者医療確保法第74条第1項に規定する入院時食事療養費に係る食事療養又は健康保険法第85条の2第1項及び高齢者医療確保法第75条第1項に規定する入院時生活療養費に係る生活療養の食事の提供たる療養を受けている患者に対して投与されたビタミン剤については,当該患者の疾患又は症状の原因がビタミンの欠乏又は代謝異常であることが明らかであり,かつ,必要なビタミンを食事により摂取することが困難である場合その他これに準ずる場合であって,医師が当該ビタミン剤の注射が有効であると判断した場合を除き,これを薬剤種類数の対象としない」こととされているが,一般病棟用の重症度,医療・看護必要度Ⅱについても同様の取扱いであると考えてよいか。
A11 よい。
〔特定集中治療室用の重症度,医療・看護必要度〕
Q12 一般病棟用の重症度,医療・看護必要度Ⅱの評価については,「歯科の入院患者(同一入院中に医科の診療も行う期間については除く。)は,対象から除外すること」とされているが,特定集中治療室用の重症度,医療・看護必要度Ⅱについても同様の取扱いであると考えてよいか。
A12 よい。
〔肝エラストグラフィ加算〕
Q13 「E202」磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)の注10に規定する肝エラストグラフィ加算の施設基準における「関係学会の定める指針に基づいて,肝エラストグラフィ撮影を適切に実施していること」について,「関係学会の定める指針」とは具体的には何を指すのか。
A13 現時点では,日本医学放射線学会及び日本磁気共鳴医学会が作成した「肝MRエラストグラフィ撮像・管理指針」を指す。
〔摂食嚥下機能回復体制加算〕
Q14 「H004」の注3に規定する摂食嚥下機能回復体制加算について,同一医療機関において,療養病棟入院基本料及び療養病棟入院基本料以外の入院基本料をそれぞれ届け出ている場合,摂食嚥下機能回復体制加算3と摂食嚥下機能回復体制加算1又は2を,いずれも届け出ることは可能か。
A14 不可。摂食嚥下機能回復体制加算は医療機関単位で届出を行うものであり,同一医療機関が摂食嚥下機能回復体制加算1又は2の届出と摂食嚥下機能回復体制加算3の届出を併せて行うことはできない。
〔ネブライザ〕
Q15 3月31日事務連絡別添1の問223において,副鼻腔内陰加圧ネブライザ,喉頭及び喉頭下ネブライザ及びアレルギー性鼻炎に対する鼻腔ネブライザを同一日に実施した場合,それぞれについて「J114」ネブライザを算定することはできず,主たるもののみについて算定することが示されたが,同一日に複数回ネブライザを用いて患者に吸入させることが求められる薬剤を使用し,医学的必要性に基づき,同一日に複数回受診しネブライザを実施した場合の算定については,どのように考えればよいか。
A15 医学的判断により算定すること。なお,同一日に複数回受診しネブライザを実施する場合においては,医学的必要性を摘要欄に記載すること。
〔自家脂肪注入〕
Q16 「K019-2」自家脂肪注入の施設基準において,
① 「関係学会から示されている指針」とは,具体的には何を指すのか。
② 医師に求める「関係学会から示されている指針に基づいた所定の研修」には,具体的にはどのようなものがあるか。
A16 それぞれ以下のとおり。
① 現時点では,日本形成外科学会及び日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会が作成した「再建を目的とした自家脂肪注入に対する適正施行基準(2017年版)」を指す。
② 現時点では,「日本形成外科学会E-learning自家脂肪注入術特別セミナー」が該当する。
〔腹腔鏡下子宮瘢痕部修復術〕
Q17 「K882-2」腹腔鏡下子宮瘢痕部修復術の施設基準において,「産科又は産婦人科」とあるが,婦人科であっても当該要件を満たすものと考えてよいか。
A17 よい。
〔紹介状なしで受診する場合等の定額負担等〕
Q18 ある診療科において紹介状なし受診時の定額負担の対象となった患者が,同一病院において,同一日に他の傷病について,新たに別の診療科を紹介状なしで初診として受診した場合,この2つ目の診療科における定額負担及び保険外併用療養費はどのような取扱いになるのか。
A18 紹介状なしで複数科を受診し,それぞれ初診に該当する場合には,各診療科の受診について除外要件に該当しない限り,それぞれの診療科において定額負担を徴収する必要がある。このとき,2つ目の診療科における初診に係る所定点数から控除する点数については,「A000」初診料の注5のただし書に規定する点数を上限とすること。
なお,他の医療機関に対して文書による紹介を行う旨の申出を行ったにもかかわらず,当該病院を受診した患者に係る再診についても,これに準じた取扱いとすること。