勤務医通信

府医勤務医部会について

京都桂病院 病院長/勤務医部会 幹事長
若園 𠮷裕

 現在COVID-19は爆発的な感染者数の増加がみられ,多くの病院でクラスターが発生し,陽性者や濃厚接触者の職員が増加し業務に支障をきたしていますが,この文が皆様の目に触れる頃にはCOVID-19の第7波が収束しCOVID対応が変更されていることを願っています。
 先日京都府医師会勤務医部会の幹事長を拝命いたしました若園です。どうぞよろしくお願いいたします。今回は私のわかる範囲になりますが府医勤務医部会の歴史を振り返ってみたいと思います。平成26年度に府医勤務医部会設立30周年が開催され記念誌が当時の府医会長で勤務医部会部会長であった森洋一先生の下で発刊されています。その記念誌に記載されていることに基づいてお話をさせていただきます。府医勤務医部会の発足は,昭和59年(1984年)で昭和59年7月28日に第1回の府医勤務医部会幹事会が開催されたとのことです。昭和59年と申しますとわらべの「もしも明日が」が流行し日本が世界第一の長寿国となった年ですが,一方で医師数が増加し医師過剰・医療費高騰時代が到来すると警鐘が鳴らされ医学部の定員削減が行われるようになった時期です。医師が増加し勤務医と開業医が力を合わせて医療についての諸問題を解決するために一致団結しなければならないという機運が高まっていた時期でもあったと思います。その後先輩方が熱心にその時その時に勤務医が抱える問題について議論され提言されてきたわけですが,記念誌から引用させていただきますと勤務医部会創設後の最初の10年間は経済成長,医師急増の時代であり勤務医の組織化,医師会活動への参加促進が大きな課題でした。その後の11年目からの10年間はバブルがはじけ,病院経営が厳しくなり医療安全,感染症,勤務環境などの諸問題が噴出しとどめは小泉内閣の低医療費政策で,その後の21年目からの10年間は新医師臨床研修制度の開始に端を発した医師不足による地域医療の崩壊の危機が注目を集めたと総括されています。私が勤務医部会に幹事として参加させていただいたのは平成20年からになります。当時内藤先生が幹事長を務めておられ,副幹事長をされていた安田先生,吉田先生,紀田先生を懐かしく思い出します。勤務医の過酷な勤務状況について,勤務医の組織化,勤務医の医師会活動への参加などが議論されており,それらの課題について勤務医同士がお話をする機会自体が非常に珍しく最初は皆さんの議論が嚙み合わないこともありましたが,私にとってはとても刺激を受ける充実した会であったと記憶しています。またその後勤務医部会の中に女性医師WGが設立され医学生・研修医をサポートする会を開催し現在のワークライフバランス委員会に繋がってゆきました。府医の理事や幹事が課題として提起されていたことを読み返しますと,勤務医の過重労働,医師不足,女性医師の働き方,医師の地域偏在などまさに現在の「働き方改革」,「臨床研修制度」,「専門医制度」と繋がります。現在進めていることが果たして最善の解に向かっているのかは後世に判断を委ねることになるのでしょうか。COVID-19が出現するまでは各都道府県で毎年全国医師勤務医部会連絡協議会が開催され種々交流が行われ各地域の状況を知ることができましたが京都府医師会ほど覚悟を持って勤務医部会を運営しているところはないように感じています。いろいろ国や政策の影響は受けますがぜひ今後も勤務医の諸課題を話し合い,少しでも勤務医の皆様の望む状況に近づく提言などを行うことができたらと思います。

Information
病院名 京都桂病院
住 所 西京区山田平尾町17番
電話番号 075-391-5811
ホームページ https://www.katsura.com/index.html

2022年9月15日号TOP