2022年9月15日号
2022年8月31日
京都府医師会新型コロナウイルス感染症対策チーム
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大第7波は8月に入ってからも進んだ。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株(B.1.1.529系統)のBA.5への置き換わり,行動制限のない夏休み・お盆休みなど社会経済活動の活発化の影響もあり,全国的に新規感染者数が増加した。新規感染者の急増にともなって重症者・死亡者数が増加し,特に死亡者数の急速な増加が継続し,これまでの最高値を超えた。新規感染者数は,下旬にはピークアウトしたと思われる。
政府は,医療機関や保健所のさらなる負担軽減の対策として,全数把握の見直し,オミクロン株対応2価ワクチン接種の実施,抗原検査キットのOTC化とネット販売解禁などの方針を次々と出してきた。また,水際対策の見直しと緩和の方針も出してきた。
2022年8月の1か月間の動向について述べる。
なお,本文中に記載した数値や対応策等は,8月31日時点のものであり,今後の動向により変化することを予めお断りしておく。
⑴ 全国の感染者数の推移と対策
① 感染状況
COVID-19の新規感染者数は全国的に右肩上がりに上昇し,8月上旬には10万人あたり約1,194人となり,今週先週比は7月中旬の2.0前後から漸減して1.05まで増加幅が減少してきたものの,感染者数の増加は続いた。中旬には10万人あたり約1,036人となり今週先週比も1を下回り0.87と減少に転じたが,一部地域では増加が続き,全国的にはこれまでで最も高い感染レベルが継続し,1日に20万人を超える日が続いた。下旬になってから今週先週比が1.19とその前の減少傾向から増加に転じ,10万人あたり約1,250人となった。下旬後半には10万人あたり約985人となり,今週先週比は0.79と再び減少傾向に転じたが,全国的にはまだ高い感染レベルが続いた。行動制限のないお盆休みや夏休みなどの社会経済活動の活発化の影響で,ほとんどの地域で増加がみられた。1週間の新規感染者数は,7月中旬から6週連続で100万人を上回った。29日現在で,国内COVID-19患者は累計1,855万人弱(「ダイヤモンド・プリンセス」乗船者を含む)となった。
高齢者施設における集団感染の急増と,病床のひっ迫により実質的に施設内療養者が増加した。さらに全国的に感染者および濃厚接触者の急増により,医療機関や福祉施設の従事者のみならず社会活動全体への影響が継続した。医療提供体制においては,救急搬送困難事案の増加や医療従事者の欠勤などが改善しておらず,COVID-19だけでなく一般医療を含めた医療提供体制に大きな負担を生じ,さらなる深刻化が懸念される。
年代別の新規感染者数は,夏休み期間に入り10代を中心に若年層,特に20代で減少に転じ減少幅が大きくなったものの,重症化リスクの高い高齢者を含む50代以上で増加が継続した。これまでの傾向と同様に,新規感染者の急増から遅れて重症者・死亡者が増加しており,特に死亡者は第6波のピーク時を超え8月中旬には300人/日になりこれまでの最高値となった。第7波では小児の感染者数が第6波のピーク時の2倍以上にのぼり,受け入れ病床がひっ迫した。脱水症状や熱性けいれんで救急搬送されて入院する例が目立った。第6波までは,家庭内感染を防ぐための隔離入院にも対応していた地域でも,第7波ではその余裕・余力は無くなった。小児のCOVID-19で,脳炎や脳症になるなどで重症病床に入院する例も増えているが,小児の高度医療を担う病院は限定的で,通常医療への影響が懸念される。
表1.全国の年代別新規感染者の割合(報告日別,HER-SYSデータ)
BA.5による感染者急増で,7月下旬に自宅療養者は100万人を超えた。8月31日時点で全国の自宅療養中のCOVID-19患者は,前週比170,227人減の1,391,061人,と厚労省が発表した。都道府県別では,大阪が127,496人で最多,東京が93,407人,京都は52,432人だった。自宅療養者とは別に,医療機関入院や宿泊療養施設入所が決まっていない「療養先調整中」(自宅待機者)は265,837人で,そのうち入院が必要であるが受け入れ先が決まっていない者が3,244人であった。
英国での,デルタ株とオミクロン株のすべての系統(BA.1,BA.2,BA.3,BA.4,BA.5)での入院および死亡リスクについての後ろ向きコホート研究が行われ,その結果が報告された。COVID-19関連死のリスクは,デルタ株に比してオミクロン株BA.1で66%低下し,低下の程度は18~59歳(ハザード比0.14)において70歳以上のそれ(ハザード比0.44)よりも顕著であった(p<0.0001)。オミクロン株BA.1がデルタ株よりも重症化リスクが低いことを示唆し,それまでの研究を裏付ける結果だった。
感染場所については,自宅の割合の増加傾向が続き,学校等では夏休みの影響が想定され減少傾向になった。また20~60代の職場・事業所の割合が増加したが,特に20代での増加が目立ち,中旬には30代~60代で減少がみられた。50代~70代で病院での割合が増加している。ただし,大都市では積極的疫学調査が重点化され,感染経路の十分な把握がされていないことに留意を要する。
感染者数に影響を与える主な要因としては,①ワクチン3回接種と感染により獲得した免疫が徐々に減衰していること,②夏休みやイベント,お盆等による接触機会の増加等,③オミクロン株のBA.5系統に概ね置き換わっていること(BA.5系統はBA.2系統よりも,感染者数が増加しやすいことが示唆され,免疫回避が懸念される),などが考えられる。なお,米国でのコホート研究では,オミクロン株流行時に抗体陽性が確認された人では,感染者の半数以上が感染を認識していないこと,また医療従事者は非医療従事者よりも認識者の割合が高いが全体としては低いことが示された。このオミクロン株感染の認識率の低さが,地域社会における急速な伝播の要因である可能性が示唆される。
国内のゲノムサーベイランスによる系統別検出状況(国立感染症研究所)では,2022年第29週(7月18日~24日)での内訳は,BA.1 0%,BA.2 15.6%,BA.4 1.1%,BA.5 82.4%,デルタ株0%,であった。BA.5のうち,BA.5.2が最も多く,次いでBA.5.2.1,BA.5.1,BA.5.3.1が多く検出されている。第34週(8月22日~28日)時点でBA.5検出割合が1.00になると予想されている。
② 政府の対応策
8月に開催された政府のCOVID-19関連の会議等は,次のとおりである。
(i) 厚生科学審議会感染症部会での論点
(ア) 現行の感染症法等における課題と対応等について
次の9つの点について,それぞれの課題と対応の方向性について議論された。
①感染症に対応する医療機関の抜本的拡充,②自宅・宿泊療養者等への医療提供体制の確保等,③広域での医療人材の派遣等の調整権限創設等,④保健所の体制とその業務に関する都道府県の権限・関与の強化等,⑤検査体制の強化,⑥感染症データ収集と情報基盤の整備,⑦治療薬の研究環境の整備,⑧医療用物資等の確保の強化,⑨水際対策の実行性の向上
(イ) 唾液検体を用いた抗原定性検査について
無症状者における唾液検体を用いた抗原定性検査の臨床評価試験について検討された。
これまでの抗原定性検査において,検査性能が高いとの報告がないことから無症状者における唾液検体の使用は推奨されていない。タウンズ社から,唾液検体を用いた抗原定性検査の有効性についてのデータが新たに報告された。無症状者102検体において,以下の結果であった。
以上の結果報告から,抗原定性検査においては,無症状者の唾液検体を確定診断として使用することは推奨されないが,感染拡大地域の医療機関や高齢者施設等において幅広く検査を実施する際にスクリーニングに使用することは可能とする,とした。
(ⅱ) 厚労省COVID-19対策アドバイザリーボードからの提言
8月3日の第93回アドバイザリーボードのメンバーから,「感染拡大抑制の取り組み」と「柔軟かつ効率的な保健医療体制への移行」についての提言が出された。この提言の実行性を高めるために国が早急に取組むべき課題として以下の5点を示した。
(ⅲ) 「オミクロン株の特徴に合わせた医療機関や保健所の更なる負担軽減の対応」
8月4日の第96回対策本部会議で,「オミクロン株の特徴に合わせた医療機関や保健所の更なる負担軽減の対応」を本部決定し発表した(p.5~6)。①患者発生時の届出項目のさらなる削減,②「発熱外来自己検査体制」整備のさらなる推進,③効果的かつ負担の少ない医療現場における感染対策について,④救急医療等のひっ迫回避に向けた対応,について述べている。
①について,京都府・京都市と府医とで直ちに協議を行った。国の示す「更に削減した項目」のとおりに削減した場合,不具合が出る可能性がある。例えば,氏名のふりがなが削減されると,保健所から電話でのファーストタッチの際に読めない氏名(小児や若年層の所謂「キラキラネーム」など)が少なからずあること,発症日が削減されると療養期間の決定ができないため,その都度診療・検査医療機関への問い合わせが増える可能性があること,などである。協議の結果,京都府と京都市での発生届の項目は現状をほぼ踏襲することにした。なお,HER-SYSは,発生届の「診断方法」の検査記録タブへの自動反映の見直しと,「検体採取日」,「診断年月日」が未入力の場合に「報告年月日」と同じ日付に自動反映されるよう変更するため,8月31日22時から9月1日7時まで一時利用停止した。
②で述べられている,抗原定性検査キットについて,厚労省は17日に一般用医薬品(OTC)と同じ扱いにし,インターネットでの購入を解禁した。同日開催された薬事・食品衛生審議会の専門部会が了承した。抗原定性検査キットは,それまでは医療用の扱いで,薬局で薬剤師が対面で説明する場合に限って販売していたが,夜間や休日など薬剤師が不在の時には購入できず,検査の普及を妨げる要因になっていた。また,性能が不明な「研究用」と称した検査キットが,ネット上やドラッグストアで流通していることが従来から問題視されてきた。例えば,唾液検体におる抗原定性検査キットは医療用で限られた製品しかないが,ドラッグストアなどで販売されている唾液検体の製品は「研究用」のものがほとんどである。厚労省はインターネット解禁した抗原定性検査キットを一般用検査薬に位置づけるが,医療用で承認している検査キットと同じ性能があることを条件としている。販売時には薬剤師による情報提供をメール等で求める方針である。検査キットを販売する企業は申請が必要で,申請があれば速やかに承認審査を進めるとした。なお検査キットのOTC化は,岸田首相の諮問機関である規制改革推進会議が5月にまとめた答申に盛り込まれていた。厚労省は「研究用」検査キットの販売を控えるよう求めているが,ネット上で安価に流通しているのが現状であり,今後はネット販売される正規品と混同されないようにする対策が不可欠である。
現在,国内で販売する20社で約1.5億回分が確保されているが,ネット解禁に向けてメーカーに増産を要請し,また流通先に優先順位を付けて対応をするとしている。医療機関と自治体,薬局への供給が優先され,在庫に余裕のある製品をネット販売に充てるとしている。
京都府から診療・検査医療機関に提供された抗原検査キットを,その医療機関から配布されて自己採取して陽性であった場合は,スマートフォン等から電子申請(陽性者登録)をして「陽性確定」する方法について,すでに各診療・検査医療機関に通知されている。京都市内の住民は「京都市新型コロナ陽性者フォローアップセンター」に,京都府民は「京都府陽性者登録センター」から申請する。正規品をネット購入した場合も,同じ方法での申請となる。
(ⅳ) 新型コロナワクチン
(ア) オミクロン株対応2価ワクチン
オミクロン株対応ワクチンについて,8月8日の第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で,初回接種を完了したすべての住民を対象に,10月半ば以降に接種を開始することを想定して,「BA.1対応型」2価ワクチンの導入を進めることが了承された(第44報p.16に掲載の2価ワクチンのデータを参照)。その後,厚労省は接種開始を9月に前倒しにする方向で調整をし始めた。ただし,接種券の準備にかかる時間を考えると,9月末までの接種開始には相当な無理があり,各自治体が対応しきれないと思われる。
モデルナ社は,オミクロン株に対応した改良ワクチン(BA.4とBA.5に対応)について,FDAへの申請を行ったことを23日に発表した。ワクチン接種を完了した18歳以上への追加接種を想定している。また,ファイザー社も,従来株とBA.4/BA.5をベースにした改良ワクチンをFDAに22日に申請し,9月から供給できる見通しである。なお,BA.4/BA.5に対しての効果は,56歳以上の被験者の血清で試験したSARS-CoV-2ライブウイルス中和アッセイによると,BA.1の約3分の1の力価でBA.4/BA.5を中和したと報告されている。米国FDAは,BA.4/BA.5対応のモデルナとファイザーの2価ワクチンの緊急使用許可を改訂し,初回シリーズまたは追加接種から少なくとも2か月後に2価ワクチンを追加接種としての使用を承認した。
厚労省が,我が国で導入する2価ワクチンを「BA.1対応」から「BA.4/BA.5対応」に変更するのか,また最終接種からの接種間隔,接種時期をどうするのか,についてはまだ結論を出していない。ただし,現在9月30日までとしているコロナワクチンの特例臨時接種の実施期間を延長する方向で調整しており,引続き無料で接種が受けられる体制は継続される予定である。
(イ) 小児対象のワクチン
第34回予防接種・ワクチン分科会では,5~11歳の小児のコロナワクチン接種について,現行の取り扱いを変更し,努力義務の適用とすることを了承した。また,小児への3回目接種の実施も了承した。なお,日本小児科学会など関係団体は,小児へのワクチン接種を推奨するコメントを出している。
(ウ) ワクチン接種担当者の職種拡大
ワクチン接種の担い手は,現在は医師や看護師が担当しているが,それ以外に,接種担当者の確保が困難な場合には,研修を受けるなど一定の条件を満たせば歯科医師らによる接種を特例として認めた経緯がある。8月31日に厚労省は,次の感染拡大に備えて,歯科医師,臨床検査技師,救命救急士,診療放射線技師,臨床工学技士の5職種に広げる方針を提示した。特例として容認していたものを恒久化するよう,関連する法改正案を秋の臨時国会に提出するための調整を行っている。
(ⅴ) 全数把握の見直し
COVID-19は感染症法で「2類相当」と位置づけられ,その第12条はCOVID-19を診断した医師に対し,すべての患者の氏名,年齢,性別等や診断情報などは保健所を通じて都道府県に届け出ることを義務づけている。届け出(発生届,疑似症届)はHER-SYSを用いているが,感染者数激増により入力作業が医療機関あるいは保健所の負担となっていることから,全国知事会と日医から見直しの要望が政府に対して出ていた。
業務がひっ迫している医療機関や保健所の負担を軽減し高齢者等の重症化リスクの高い患者への対応に集中できるよう,感染者の全数把握を見直す方針を8月24日に政府が表明した。翌25日に,厚労省から,COVID-19の発生届の範囲を限定することを認める通知と事務連絡を各都道府県に発出した。「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布について」(通知)と「新型コロナウイルス感染症に係る発生届の限定(緊急避難措置)の概要及び必要な手続き等について」(事務連絡)であり,緊急避難措置の扱いとした。
すべての感染者の発生届を出す現行の全数把握から,①65歳以上,②入院を要する者,③重症化リスクがあり,かつ投薬が必要な者,または重症化リスクがあり,かつ新たに酸素投与が必要な者,④妊婦,に限定することに変更となるが,知事が厚労相に「限定」を申請した場合に認めるとした。対象となる都道府県は,(1)発生届に関する事務処理により,COVID-19患者が良質かつ適切な医療を受けることが困難になる恐れがあると都道府県知事が認める,(2)当該都道府県知事がCOVID-19患者を診断した医師の報告に基づき,日ごとの当該患者数の総数と年代別の総数を毎日公表することの両方を満たす必要がある。「限定」するかどうかは都道府県の判断に委ねる形となった。25日から申請を受けつけ初回期限を29日としていた。26日に西脇京都府知事は,「届出をしない人の容体を如何に把握して支援するのか,などの課題がある」と記者会見で述べ,29日の締め切りまでに京都府は厚労相への届出は行わなかった。この発生届の「限定」によって,医療と保健行政への負担軽減に繋がるかどうか不明確であり,また発生届の対象外の陽性者へのフォローアップ体制等での課題があり,京都府は府医とも十分に協議を行った上で方向を見極めることとした(通知等を発出してから締め切りまでの5日間では十分な協議は到底できない)。なお,当初,政府は2歳未満の乳幼児も限定に含めるとしていたが,数日も経たないうちに乳幼児は外すことになったが,相変わらず「走りながら考え,走りながら発出する」ことで,朝令暮改の様相を呈した。
日医の釜萢常任理事は23日の定例会見で,発生届の対象者を重症化リスクのある者に限定した場合「医療機関の負担はかなり軽減される」としたが,果たしてそうであろうか。重症化リスクの低い若年世代や軽症者が保健所による健康観察の対象外となるため,自宅療養中の体調悪化での急変に気づきにくくなる恐れがある。そのため,診療・検査医療機関による健康観察の負担がさらに増すことになれば,医療機関への負担軽減にはならない。現時点では,発生届が出された陽性者がMy HER-SYSに入力すると,そこから療養証明が得られるが,HER-SYS入力のない陽性者の療養証明をどのようにするのかも決まっておらず,場合によっては診療・検査医療機関への問い合わせが激増する可能性をはらんでいる(*)。また,行政は連日の総数を集計して報告することになることから,保健行政への負担軽減になるのは一部のみと考えられる。ただし,無症候性感染者がかなり多くなっている現状では,有症状者だけの全数把握を堅持する意義が再考されるべきと思われる。
(*)註:金融庁からの要請を受け,9月1日に生命保険協会が会員各社に対して,給付金等の支払いにあたり,療養証明書の発行を医療機関や保健所に求めない事務構築の検討を行うよう周知した。今後,各社において療養証明書以外にCOVID-19に罹患したことが確認できる代替書類の活用等による事務構築がなされる見込みである。
HER-SYSの報告項目の簡素化を受けて65歳以下の陽性者の発症日が入力されなくなる(京都府,京都市は独自に入力することを残している)ため,従来の実効再生産数の推定が困難になることが予想される。現時点では週あたりの報告者数を用いて簡易的に推定しており,またHER-SYSデータを用いて確定日毎の7日間移動平均を用いて推定しているが,HER-SYSへの登録の遅れと,HER-SYS入力の対象とならない陽性者の把握が困難になることにより,今後の実効再生産数のデータ解釈には注意を要することになる。
発生届の提出が求められる「重症化リスクがあり,かつCOVID-19治療薬の投与が必要な者」で規定された治療薬は,ロナプリーブ,ステロイド薬,ゼビュディ,トシリズマブ,パキロビッド,バリシチニブ,ラゲブリオ,ベクルリー,である。なお,発生届の対象外の者を含めて,すべての感染者の治療費は公費負担である。
自治体が指定する医療機関が患者発生情報を届け出る「定点把握」をCOVID-19に導入することは,引続き検討するとしているが,「限定」の対象者に絞る手法の併用や,指定病院の選定方法などの課題が多く,導入の可否や時期については未定である。
(ⅵ) 水際対策・入国条件の見直し
現在,入国・帰国者全員に,滞在国からの出国前72時間以内の陰性証明書の提示を義務づけているが,旅行者等の負担が大きいとの批判があり,ワクチンの3回接種完了などを条件に,これを不要とする。9月7日から,ワクチン接種完了の証明があれば入国時に求めていた陰性証明は免除する。
3回以上の接種がわかるワクチン接種証明書は,①日本政府または日本の地方公共団体が発行した接種証明(海外渡航用接種証明書),②日本の地方公共団体が発行した予防接種証,③日本の医療機関等が発行した接種記録書,のいずれかに該当するものとする。外国で発行された証明書は,次の④~⑥のすべてを満たすもので,④氏名/生年月日/ワクチン名またはメーカー,接種日,接種回数が日本語または英語で記載されていること,⑤ワクチンの種類は,ファイザー,アストラゼネカ,モデルナ,ノババックス,ヤンセン(ジェコビデンJCOVDEN筋注;1回接種で2回とみなす),バーラト・バイオテック(COVAXIN)で,異なる種類のワクチン接種は有効と認める,⑥政府等公的な機関で発行された証明書であること,としている。
現行1日あたり2万人の入国者数の上限引上げについても,さらに検討することになっている。また添乗員同行のパッケージツアーに限定していた外国人観光客に関して,添乗員なしのツアー実施も容認する方向で調整する。
(ⅶ) 感染危機管理庁と日本版CDC
岸田首相の所信表明で述べていた,米国疾病対策センター(CDC)をモデルにした「日本版CDC」の設置に向けて準備を始める。感染症対策を一元的に担う「内閣感染症危機管理統括庁」(危機管理庁)を2023年度中の創設を目指し,「日本版CDC」は2025年度に設置することを目指す。これらの設置のために必要な法案は23年の通常国会に提出する予定である。危機管理庁は内閣官房に置き,関係省庁幹部を兼務させ,かつ有事に集める職員は事前にリスト化される。
発熱外来を実施する医療機関や病床の確保のため都道府県知事の権限の強化,機動的にワクチン接種を行うため医師・看護師以外でも実施,水際対策の罰則強化等が盛り込まれた総合方針案が出される。
日本版CDCは国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して設立することになる。疫学調査から臨床研究までを一元化する。担当分野が多岐に亘る厚労省の組織も再編し,食品衛生基準行政は消費者庁へ,水道行政は国土交通省と環境省へ移す予定である。
都道府県は,公立・公的病院などと事前に協定を結び,新興感染症の出現や流行時の医療提供を義務づけるようになる。またワクチン接種は,国が自治体に対して臨時接種を実施するよう指示する体制となる。
⑵ 京都府の感染者数の推移と対策
① 京都府内の新規感染者数の推移(図1)
京都府内の1日の新規感染者数は,7月下旬に一旦減少傾向にあったが,行動制限のない夏休みと人流の増加の影響で,8月に再度上昇傾向を見せた。3日の6,800人超が最多で,その後,6,000人超の日は,3日(6,891名),5日(6,052名),9日(6,477名),11日(6,300名)であった。今週先週比が7月下旬の2.0超から8月に入ってからは漸減し,12日に1.01となりその後は1.0未満で経過していた。お盆休み明けの23日に再び1.0超となったが,27日以降は1.0未満で漸減し31日は0.81になった。1日新規感染者数は,25日以降は5,000人を超えていない。
年代別では,全国の傾向と同様に,10代での減少傾向がみられ,20代から40代での感染者が相対的に多く,全体の約3分の1を占めていた。
府内の保健所ごとの新規感染者数でみると,ほとんどの地域で8月下旬に減少に転じていたが,中丹東保健所では高止まりで減少幅が小さい。
図1.第7波 京都府内新規感染者数の推移 (2022年7月1日~8月31日)
府内の入院率は1.0%前後を推移し,確保病床使用率は上旬から中旬にかけて50%超となり,20日65%弱であったが,下旬には60%を下回ってきた(表2)。重症者用病床使用率は50%超から漸減し下旬には40%を下回ってきた。高度重症病床は,1日時点では51床中12床で,16日まで10床超で推移したが,17日以降は10床を下回り,23日24日に1床まで減じたが,その後漸増し31日時点で6床になった。
表2.京都府のモニタリング指標の状況
② 感染拡大時の対応
行動制限がない3年ぶりのお盆休み期間の前に,京都府内のCOVID-19重症患者受入医療機関の13院長および松井府医会長の連名で,「災害レベルに達した新形コロナ第7波について ―重症患者受け入れ医療機関からのお願い―」が発表され,府民・市民への感染対策の啓発が行われた(下部の画像4枚)。
8月26日に「京都府BA.5対策強化宣言」を9月30日まで期間延長をすることが発表された。この宣言は,一人ひとりが「自分が感染しない」,「他の人に感染させない」,「感染を広げない」を常に意識して,感染防止に注意して行動することを府民・市民に呼びかけるものである。基本的な感染対策として,換気対策,正しいマスク着用,飲食時の感染対策と業務継続のための対応,ワクチン接種の推進,検査の活用として無料検査実施事業や医療機関での定性検査キット配布事業の活用,さらに的確な救急要請についても触れている。
京都市は,COVID-19患者のうち64歳以下で重症化リスクが低い者への保健所からのファーストタッチを8月8日から取りやめることを4日に発表した。COVID-19と診断した診療・検査医療機関から療養期間などを記載した案内文書を陽性者に手渡すことで,保健所のファーストタッチに代えることになった。65歳以上の高齢者と0歳児,基礎疾患を有し重症化リスクがある陽性者については,従来どおりの電話による連絡は継続する。
⑴ 会議
第7波の感染拡大の収拾がつかない状況であり,府医の各種会議(定例理事会,各部会,各種委員会)はハイブリッド形式での開催を続けた。8月27日の専門医会長との懇談会は,当初は対面形式で開催する予定であったが,Web形式での開催に変更した。31日の府医学校医部会幹事会もWeb形式となった。
8月4日の第2回近医連(近畿医師会連合)常任委員会もWeb形式で開催され,松井府医会長をはじめ府医理事は府医会館で参加した。
8月9日に開催された日医の都道府県医COVID-19対策担当理事連絡協議会(Web)は,日医松本新会長就任後最初の会議であったが,第7波の感染状況等について政府の各種会議での論点の解説,第7波に関連する厚労省事務連絡等についての情報交換および質疑応答・意見交換が行われた。
行政との会議では,8月5日に松井府医会長は京都府新型コロナ対策本部会議(京都府庁)に参加した。翌5日に京都市医療衛生推進室と府医コロナチームとでCOVID-19対策について対面での協議を行った。
⑵ 宿泊療養施設健康管理および自宅療養者
宿泊療養施設は,引続きホテルヴィスキオ京都(HV),アパホテル京都駅東(AE),アパホテル京都駅堀川(AH)の3施設を利用している。各施設の入所者数は,1日平均で見ると,HV159.8人,AE125.9人,AH168.1人であった。AHでは1日に40名を超える入所者の日もあった。HVには2名,AEとAHには各1名が出務し,療養者の健康観察を連日実施した。保険診療は,3施設合わせると1日平均17.5件であった。陽性者外来を受診したのは8月には7名であった。
ワクチンの有効期限は,一定期間ワクチンを保存した場合に品質が保たれるかについて,ワクチンを製造・販売する企業において収集されたデータに基づき,薬事上の手続きを経て設定される。一度設定した後であっても,当該企業において引続きより長くワクチンを保存した場合に品質が保たれることについてのデータに基づき,薬事上の手続きを経て,有効期限が延長されることがあった。
今回,8月19日にファイザー社の12歳以上用ワクチンの有効期限は,12か月から15か月へとさらに延長された。
⑴ 接種状況
8月29日時点で,高齢者ワクチン接種率(3回目)は90.7%,60歳以上ワクチン接種率(4回目)は54.9%(対象者数(3回目接種から5か月経過した60歳以上の者)に対する接種率は68.7%)である。小児の接種率は依然と低く,5歳~11歳の1回接種完了者は19.5%,2回接種完了者は17.9%である。12~19歳はそれぞれ75.5%,74.6%で,20歳代はそれぞれ81.3%,80.5%であった。
京都府の3回目接種完了者は61,7%,京都市のそれは60.0%(政令都市平均61.9%)であった。
⑵ ワクチン効果
① ブレークスルー感染
(ⅰ) 未接種者とブレークスルー感染者の違い
我が国の感染拡大第7波において,ワクチン接種後の感染(ブレークスルー感染)も多数報告されており,大半は軽症か無症状であるが,入院を要する者もいる。ワクチン接種あるいは未接種者で重症化した患者について免疫および臨床的特徴について,イタリアの研究グループが検討した。
2021年11月~12月のデルタ株流行期に,イタリアのフィレンツェ・カレッジ大学病院に入院したCOVID-19患者を,発症からの期間や重症度に関係なく対象とし,臨床データおよび検査データを収集した。ウイルスベクターワクチンまたはmRNAワクチンを完全接種した患者36例(うち4例はブースター接種完了),未接種者29例であった(接種群の平均年齢は73歳,非接種群は67歳)。入院時に,接種群は併存疾患が未接種群と比較して優位に多かった(平均4.3 vs. 2.9)。
未接種群は接種群と比較して,血清フェリチン値,LDHが有意に上昇していたが,肺機能障害,他の炎症マーカー(CRP,IL-6,Dダイマー)は両群間に有意差はなかった。
未接種群は接種群に比べ,重症度指数は有意に高く,肺炎の発生率は,未接種群93%(27/29)に対し,接種群69%(24/36)で,死亡率は未接種群31%(9/29),接種群11%(4/36)であった。
ワクチン接種の有無にかかわらず,生存例(52例)と死亡例(13例)の入院時の抗SARS-CoV-2免疫を比較すると,抗N-IgGおよび抗S-IgMは両群で差はなかったが,抗S-IgGおよび中和Igは生存例で有意に高かった。入院時に,65例中6例(9.2%)で高い抗INF-α抗体価を示し,高抗INF-α抗体保有者6例のうち未接種群の3例は死亡し,接種群の3例は生存して退院した。
以上から,ワクチン接種者は未接種者より入院前の身体状態が不良であるにもかかわらず,転帰は良好で,また抗SARS-CoV-2特異的免疫の迅速な活性は,感染の治癒のためには不可欠であり,ワクチン接種による事前の免疫獲得が悪化防止に大きく貢献し,高リスク因子(高齢,合併症,高INF-α自己抗体)を乗り越える可能性がある,としている。
(ⅱ) 医療従事者のブレークスルー感染率
オミクロン株流行期に,医療従事者に対する4回目接種が,感染予防の観点からメリットがあったのかどうかを明らかにする目的で,イスラエルでのオミクロン株感染ピーク時に,3回目接種済みと4回目接種済みの医療従事者におけるブレークスルー感染率が比較された。2022年1月2日時点で,COVID-19の感染歴のない者で,4回目接種後7日以上経過した者(4回目接種群)と4回目未接種群(3回目接種群)を比較して,感染予防効果を分析した。
29,611例のイスラエルの医療従事者(女性65%,平均年齢44±12歳)が21年9月30日までに3回目接種を受け,このうち22年1月に4回目接種を受け,接種後1週間まで感染のなかった5,331例(18%)が4回目接種群,それ以外の24,280例が3回目接種群とした。接種後30日間における全体のブレークスルー感染率は,4回目接種群では7%(368例),3回目接種群で20%(4,802例)であった(粗リスク比:0.35,95%信頼区間(CI):0.32-0.39)。3回目のワクチン接種日によるマッチング解析(リスク比:0.61,95%CI:0.54-0.71)および時間依存のCox比例ハザード回帰モデルの結果(調整ハザード比:0.56,95%CI:0.50-0.63)において,4回目接種群で同様の減少がみられた。また両群とも,重篤な状態や死亡は発生していなかった。
以上から,4回目ワクチン接種は医療従事者のブレークスルー感染予防に有効であり,パンデミック時の医療体制と機能維持に貢献したことが示唆された。
② 5~11歳児におけるオミクロン株に対する有効性
(ⅰ) シンガポールの検討
オミクロン株に対する小児におけるワクチンの実社会での有効性について,シンガポールでデータ解析が行われた。ファイザー社ワクチン(BNT162b2)のワクチン未接種,部分接種(初回接種後1日以上経過し,2回目接種後6日以内),完全接種(2回目接種後7日以上経過)のそれぞれの小児における,報告されたすべてのCOVID-19(PCRまたは迅速抗原検査で確認),PCR検査で確認されたSARS-CoV-2感染,COVID-19関連入院の発生率を評価した。ポアソン回帰を用いて,転帰の発生率比からワクチンの有効性を推定した。
解析対象は255,936例で,未接種の小児における,報告されたCOVID-19,検査で確認されたSARS-CoV-2感染,COVID-19関連入院の粗発生率は,100万人日あたりそれぞれ,3,303.5件,473.8件,30.0件であった。部分接種での小児では,ワクチン有効率は,すべてのCOVID-19の予防において13.6%(95%CI 11.7~15.5),検査で確認されたSARS-CoV-2感染の予防において24.3%(95%CI 2419.5~28.9),COVID-19関連入院の予防において42.3%(24.9~55.7)であった。完全接種の小児では,ワクチンの有効率はそれぞれ36.8%(95%CI 35.3~38.2),65.3%(62.0~68.3),82.7%(74.8~88.2)であった。
以上から,オミクロン株流行時に,5~11歳小児におけるファイザー社ワクチン接種は,SARS-CoV-2感染とCOVID-19関連入院のリスクを減少させ,その有効性が示された。
(ⅱ) オミクロン流行期の国内初の大規模研究
国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センターの共同研究グループが,オミクロン株流行期では国内初となる小児COVID-19に関する大規模調査の結果を発表した。
COVID-19 Registry Japanに登録されているSARS-CoV-2のデルタ株とオミクロン株の流行期における18歳未満の小児患者847例(デルタ株流行期(2021年8月~12月)458例,オミクロン株流行期(22年1月~3月)389例)を対象に臨床的特徴などを比較検討し,解析した。年齢別では,3か月未満:デルタ株20例,オミクロン株27例,3か月~24か月:同74例,86例,2~6歳未満:同88例,67例,6~13歳未満:同142例,116例,13歳以上:同134例,93例であった。年齢中央値は,デルタ株の8.0歳に対しオミクロン株で6.0歳と低年齢化していることが把握された。感染経路については,学校等の教育関連施設での感染と考えられる例が,デルタ株10.0%に対してオミクロン株17.2%と高かった。入院期間はデルタ株7.0日に対しオミクロン株5.0日と短縮しており,両流行期とも死亡例はなかった。
38℃以上の発熱が生じた割合は,2~6歳未満ではデルタ株の20.5%に対してオミクロン株では43.3%,6~13歳未満ではそれぞれ19.0%,37.1%と,オミクロン株では2倍以上であった。けいれんではさらに顕著な差が見られ,2~6歳未満ではデルタ株の2.3%に対してオミクロン株では13.4%,6~13歳未満ではそれぞれ2.1%,7.8%であった。一方,嗅覚障害発症例は,6~13歳未満でデルタ株6.3%に対しオミクロン株では0.9%,13歳以上ではそれぞれ13.4%,2.2%と,オミクロン株流行期では6分の1程度少なかった。13歳以上では咽頭痛を来す患者が多く,デルタ株38.1%,オミクロン株60.2%であった。
ワクチン接種歴が入力されていたのは790例であった。酸素投与,ICU入室,人工呼吸管理のいずれかを要した重症と考えられる患者43例のワクチン接種歴は,2回接種例はいなかった。なお,接種を2回完了していた患者は,847例中50例(5.9%)で,いずれも軽症であった。
これらの解析結果から,日本の小児のCOVID-19入院患者の実態がオミクロン株流行期にどのように変化したかが明らかになった。またデルタ株流行期に比べて,発熱やけいれんが増えていたことは,小児COVID-19の診断の上で重要な情報である。さらに,ワクチン接種者自体が少ない時期に実施した解析であるため限界があるが,小児へのワクチン接種がCOVID-19の重症化から守る方向で働いている可能性が示唆された,と結論した。
⑶ 3回接種後の発症予防効果:国内の検討
国立感染症研究所感染症疫学センターによる,2022年7月4日~31日(検出株の75%以上がオミクロン株BA.5系統)に実施した症例対照研究の暫定結果を報告した。
関東地方の医療機関7施設の発熱外来などを受診した16歳以上の患者を調査対象とし,PCR検査での陽性者を症例群,陰性者を対照群とし,解析対象はCOVID-19発症から14日以内の発熱(37.5℃以上),全身倦怠感,悪寒,関節痛,頭痛,鼻汁,咳嗽,咽頭痛,呼吸困難感,嘔気・下痢・腹痛,嗅覚・味覚障害のうち,いずれか1つある者とした。ワクチン接種歴は,①未接種,②1回目接種または2回目接種後13日以内,③2回目接種後14~90日,④2回目接種後91~150日,⑤2回目接種後151日以降,⑥3回目接種後13日以内,⑦3回目接種後14~90日,⑧3回目接種後91日以降,に分類した(解析ではワクチンの種類は区別せず)。ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比(OR)を算出し,世代,性,基礎疾患の有無,医療機関,暦週,濃厚接触歴の有無,過去1か月のSARS-CoV-2検査の有無,3か月以上前のCOVID-19診断歴,などを調整因子とした。ワクチン有効率は(1-調整OR)×100で推定した。結果は表3に示す。
表3.ワクチン接種歴別にみた感染リスク
調整ORに基づくワクチン有効率は,2回目接種後151日以降で35%(95%CI:‒4.0-60%),3回目接種後14~90日で65%(同42-79%)に上昇し,3回目接種後3か月で54%(同28-71%)と推定された。
以上から,BA.5流行期において,ワクチン2回接種後5か月には発症予防効果の程度が低くなったが,3回接種後に中~高程度に上昇する可能性が示唆されたと結論している。度重なる免疫回避能を有する変異株の出現や経時的な免疫減衰の可能性があるため,オミクロン株を含めた変異株に対応するワクチンの早期開発と導入が待たれる。
⑷ 4回目接種の安全性
米国疾病対策予防センター(CDC)が,4回目接種としてファイザー社およびモデルナ社のmRNAワクチンを接種した50歳以上の約29万例についての安全性モニタリングデータを公表した。
米国では2022年3月29日から7月10日までに,50歳以上の約1,680万例が4回目接種を受けた。この期間中の4回目接種者における,v-safe(スマートフォンを用いたアクティブサーベイランスシステム)およびVAERS(CDCとFDAが管理する,ワクチン接種後の有害事象をモニタリングするパッシブサーベイランスシステム)に報告された有害事象と健康影響評価をレビューした。なお,接種回数ごとの有害反応と健康影響の比較は,4回とも同じメーカーのワクチンを接種した人(同種接種者)に限定して実施された。
同期間中に,50歳以上のv-safe登録者のうち,286,380人が4回目接種(同種または異種)を受け,年齢中央値は67歳,女性60.6%で,同種接種者は248,887例(86.9%)(ファイザー社148,921例;モデルナ社173,525例)であった。
4回目接種後1週間での局所反応は,ファイザー社49.1% vs.モデルナ社62.1%で報告され,最も多かったのは注射接種部位の疼痛(45.8% vs. 57.2%)であった。全身反応は,ファイザー社44.2% vs.モデルナ社51.5%で報告され,多かったのは倦怠感(31.0% vs. 37.8%),頭痛(21.3% vs. 26.4%),筋肉痛(20.9% vs. 27.2%)であった。局所反応,全身反応ともに軽度から中等度がほとんどで,接種翌日に最も多く報告された。同種接種者において接種回数ごとの比較をみると,局所反応の報告は,4回目接種後がどの接種回後よりも少なく(p<0.001),全身反応の報告は,4回目接種後が2および3回目接種後よりも少なかった(p<0.001)。
同期間中のVAERSに8,515例の有害事象が報告され,年齢中央値は68歳,女性62.9%だった。このうち94.8%が非重症で,ワクチン接種ミス(有効期限切れ,製品保管ミスなど)35.8%,COVID-19が26.1%,ワクチンおよびCOVID-19に関連する局所・全身反応(倦怠感15.3%,頭痛13.0%,発熱12.1%)などが報告された。全体で12件の心筋炎が報告(非重篤6件,重篤6件)されたが,1件はCDCの心筋炎の定義に合致したが,回復に向かっている。
重篤な有害事象報告442件(5.2%)のうち,死亡は52件で,死亡者の年齢中央値は84歳,死亡診断書に記載された死因は,うっ血性心不全,大動脈解離,けいれん,重度認知症,冠動脈疾患による心停止などであった。報告された重篤な事象のうち19.0%はCOVID-19であった。
以上から,50歳以上の同種接種による4回目接種後の局所および全身反応の頻度は3回目接種後より低く,重篤な有害事象の発生は稀であるが,接種後に局所および漸進的な反応が予測されることは認識しておく必要がある,とした。
⑸ 妊婦へのワクチン接種と早産等のリスクとの関連なし
妊婦へのワクチン接種と出生児の感染リスクに関するノルウェーおよび米国の報告,ならびに日本産婦人科学会の見解について第43報(令和4年7月15日号)に記載した。カナダから,妊娠中にコロナワクチンを接種した場合,非接種と比べて早産,在胎不当過小(SGA)児の出生,死産のリスクについて,後ろ向きコホート研究の結果が報告された。
カナダのオンタリオ州の出生登録(BORN Ontario)とCOVID-19ワクチン接種データベース(COVaxON)を連携させて,2021年5月1日~12月31日のデータを用い,研究期間終了(12月31日)の42週以上の妊娠による出産で,在胎週数20週以上または出生時体重500g以上のすべての生児および死産児,ならびに受精したと思われる日から出生前日までの間に受けたワクチン接種について特定し解析した。
調査期間中の出産児(生児および死産児)は85,162例で,このうち母親が妊娠中に1回以上コロナワクチンを接種していた児は43,099例(50.6%)で,うち42,979例(99.7%)はmRNAワクチンであった。1回接種は13,416例(31.1%),2回接種は29,650例(68.8%),3回接種は33例(0.1%)であった。また1回目接種が妊娠初期(第1期)であったのは5,213例(12.1%),妊娠中期(第2期)が20,715例(48.1%),妊娠後期(第3期)が17,171例(39.8%)であった。
妊娠中のワクチン接種は,すべての早産(ワクチン接種群6.5% vs.非接種群6.9%,補正後HR:1,02(95%CI;0.96-1.08)),自然早産(3.7% vs. 4.4%,0.96(0.90-1.03)),および超早産(0.59% vs. 0.89%,0.80(0.67-0.95)))のリスク増加とは関連がなかった。またSGA児の出生(9.1% vs. 9.2%,0.98(0.93-1.03)),および死産(0.25% vs. 0.44%,0.65(0.51-0.84))のリスク増加も認められなかった。これらの結果は,ワクチンを接種した妊娠の時期,mRNAワクチンの種類,妊娠中のワクチン接種回数にかかわらず同様であった。
⑴ BA.4/BA.5に対するコロナ治療薬の効果の比較
オミクロン株の亜系統BA.2.12.1,BA.4,BA.5に対して4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性に関して,東京大学,国立感染症研究所,国立国際医療研究センターが共同研究を行った。
研究対象となったのは,米国食品医薬品局(FDA)で承認済み,および国内で一部承認済みの薬剤で,抗体薬は,カシリビマブ・イムデビマブ併用(商品名ロナプリーブ),tixagevimab/cilgavimab併用(海外の商品名Evusheld,AstraZeneca),ソトロビマブ(ゼビュディ),bebtelovibmab(Lilly),抗ウイルス薬は,レムデシビル(ベクルリー),モルヌピラビル(ラゲブリオ),ニルマトレルビル(パキロビッドパック)である。
対象の各抗体薬の単剤および併用について,SARS-CoV-2従来株(中国武漢由来)と,オミクロン株のBA.2.12.1, BA.4, BA.5を含む各系統の培養細胞中における感染を阻害(中和活性)するかどうかを,FRNT50(ライブウイルス焦点減少中和アッセイで50%のウイルスを中和する血清希釈)を用いて評価した。また各抗ウイルス薬について,IC50(50%阻害濃度)を用いて評価した。結果は表4に示す。
表4.オミクロン株に対するコロナ治療薬の効果
ただし,これらの薬剤による治療効果の臨床データがないことは,この研究の限界であると述べている。本研究によって,国内で承認済みの抗ウイルス薬が,オミクロン株のBA.2.12.1, BA.4, BA.5にも有効であることが示唆された。抗体薬については,国内未承認のbebtelovimabは有効であったが,その他の抗体薬は有効性が低く,ゼビュディについては効果がない可能性があり,BA.2.12.1, BA.4, BA.5の患者に対して,モノクロナール抗体の選択は慎重に検討する必要がある,としている。
⑵ 非重症COVID-19での抗ウイルス薬の効果
これまでの研究で一部の抗ウイルス薬がCOVID-19に有効であることが報告されてきたが,多くの研究は入院患者や重篤なCOVID-19患者を対象としており,重症でなはないCOVID-19患者に対する抗ウイルス薬の効果に関する総合的な評価は行われてこなかった。また承認された薬剤同士を直接比較する臨床試験は行われなかった。カナダの研究グループが,これまでに承認された抗ウイルス薬の有効性を互いに比較するため,軽症から中等症のCOVID-19成人患者に対するランダム化試験をデータベースから抽出してネットワークメタアナリシスを行い,非重症者に対する効果を評価した。
メタアナリシスで調べるアウトカムは,総死亡,入院,器械的換気装置の使用,抗ウイルス薬の中止につながる重篤な有害事象の4項目とした。当初の文献検索で4,541件がヒットしたが,最終的には,メタアナリシスには40件の研究(参加者17,563人)を含めた。
解析の結果,モルヌピラビルとニルマトレルビル・リトナビルは重症ではないCOVID-19患者の死亡と入院リスクを減らしており,入院を減らす効果はニルマトレルビル・リトナビルの方が高いことが示唆されたと結論した。ただし,分析対象となった研究の大半は,ワクチン未接種者を対象に,オミクロン株が登場する前に行われていたため,今後はワクチン接種済みの患者や,新たな変異株に対する抗ウイルス薬の有効性を引続きモニターする必要がある,とも述べている。
⑶ 経口JAK阻害薬
英国の「RECOVERY試験」共同研究グループは,経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬バリシチニブの効果について検討した。COVID-19で英国内の病院に入院した患者を1:1の割合で無作為に2群に分け,一方には通常の治療のみを,もう一方には通常の治療に加えてバリシチニブ(4mg/kg,経口投与)の10日間投与,または退院までのいずれか短い期間の投与を行った。主要アウトカムは,intention-to-treat(ITT)集団における28日死亡率とした。
2021年2月2日~12月29日にかけて,10,852例が試験に登録され,うち8,156例が無作為化を受けた。無作為化の時点で,コルチコステロイドを95%が服用し,またトシリズマブを23%が服用していた。全体で,無作為化後28日以内の死亡は,通常治療群14%(546/4,008例)に対しバリシチニブ群12%(514/4,148例)であった(年齢補正後率比:0.87,95%CI;0.77~0.99,p=0.028)。
一方,これまでに発表されたJAK阻害薬の無作為化比較試験8件(被験者総数3,732例,死亡425例)のメタ解析の結果では,JAK阻害薬による死亡低減率は43%(率比:0.57,95%CI:0.45~0.72)で,RECOVERY試験の結果(死亡を13%低減)に比べると減少は大きかった。この8試験とRECOVERY試験を統合した9試験のメタ解析(被験者総数11,888例,死亡1,485例)の結果,通常治療のみと比べたJAK阻害薬による入院患者の死亡低減率は20%だった(率比:0.80,95%CI:0.72~0.89,p<0,0001)。
⑷ メトホルミン,イベルメクチン,フルボキサミンの効果
第Ⅲ相二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,2×3要因デザインを用いて,入院していない成人患者の重篤なCOVID-19の予防における,メトホルミン,イベルメクチン,フルボキサミンの3つの薬剤の転用の有用性について,COVID-OUT trial memberの研究グループが検討した。SARS-CoV-2感染の確定後3日以内,症状発現後7日以内の,30~85歳の過体重または肥満の患者を対象とした。低酸素血症(酸素飽和度≦93%),救急受診,入院,死亡が主要複合エンドポイントである。すべての解析は,同時に無作為化した対照を用いて行い,SARS-CoV-2ワクチンの接種状況や,ほかの試験薬の使用で補正した。
無作為化された1,431例のうち1,323例が主要解析の対象となった。年齢中央値が46歳,女性56%(うち妊娠中6%),ワクチン接種は52%であった。主要エンドポイントの補正オッズ比,事前に規定した副次的解析での救急受診,入院,死亡の補正オッズ比,入院または死亡の補正オッズ比の結果については,表5のとおりであった。
表5.3薬剤の有用性:補正オッズ比(95%信頼区間(CI))
以上から,今回検討した3薬剤のいずれも,COVID-19に関連する低酸素血症,救急受診,入院,死亡の発生を予防しなかったと結論づけられた。
⑸ ニルマトレルビル・リトナビル(パクスロビド:パキロビッドⓇパック)のリバウンド
パクスロビド投与により入院や死亡を減らす効果が判明し,高リスクのCOVID-19患者への投与の機会が大幅に増え,米国ではモルヌピラビル(ラゲブリオⓇ)の使用より多くなっている。しかしパクスロビド治療後の感染や症状の再発が,ある程度の患者に認められるようになり,特に7月にSARS-CoV-2感染が判明したバイデン米国大統領でこのリバウンドを生じたことで注目を集めた。
このCOVID-19リバウンドが広く報じられたことや,医師が裁量でパクスロビドの2回目の処方を始めていることを受けて,米国食品医薬品局(FDA)はファイザー社とパクスロビドの再投与を検討する臨床試験について協議を始め,試験実施をファイザー社に命じた。
ファイザー社によると,パクスロビドの臨床試験でのリバウンド発生率はおよそ2%であるが,米国ケースウェウスタンリザーブ大学での解析ではさらに多くで生じている,としている。この調査では,米国全域の9,000万人超の電子カルテから同定したパクスロビド服用患者11,270人の1か月以内のCOVID-19リバウンド発生率は5.4%と報告している。一方,モルヌピラビル服用患者でもリバウンドは生じており,1か月以内のリバウンド発生率は8.6%と報告されている。モルヌピラビルのリバウンド率がパクスロビドよりも高いが,モルヌピラビル投与患者はより高齢で基礎疾患がより多く,補正解析ではパクスロビドと有意差はない。モルヌピラビルとパクスロビドのいずれでもリバウンド発生率に有意差なく認められていることは,SARS-CoV-2が体内に存在し続けること(persistent of infection)と関連している可能性がある。他方,リバウンドは未治療の患者にも生じており,プラセボ投与患者568人では,外来未治療COVID-19患者の12%にウイルス・リバウンド(SARS-CoV-2 RNAが0.5 log10以上上昇)が認められると報告されている。また27%は最初の症状改善後のリバウンドを経験していた。SARS-CoV-2 RNA上昇と症状のリバウンドの併発は稀であった。
COVID-19リバウンドのメカニズムの研究やその予防のための投与手段の検討が必要で,FDAからの要請を受けたファイザー社による新たな試験がそれらの検討に役立つことが期待される。
⑹ ラゲブリオの薬価収載
2021年12月24日に特例承認されたCOVID-19治療薬のモルヌピラビル(ラゲブリオⓇ)について,8月10日に開催された厚労省の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で,薬価収載が承認され,18日に収載された。「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」では,有効性が確立した承認薬として紹介されており,標準治療薬になること,注射薬に対し経口薬であることは利便性が高いことから,有効性加算(Ⅱ)(A=10%)を適用することが適当とされた。算定薬価は,200mg1カブセルが2,357.90円(加算後)である(1日薬価:18,862.40円)。なお,ラゲブリオの使用期限は24か月から30か月に延長され,有効期限24か月として外箱およびボトルラベルに印字されている日付はさらに6か月後まで有効となる。
⑺ 新たな中和抗体薬「エバシェルド」の特例承認
8月30日に新たな抗体薬が特例承認され,厚労省から医療機関への配分等取り扱いに係る事務連絡が発出された。アストラゼネカ社の中和抗体薬「エバシェルド筋注セット」(成分:チキサゲミマブ/シルガビマブ)は,今回,投与対象者を「ワクチン接種が推奨されない者やワクチンでは十分な免疫反応が得られない可能性のある者」(COVID-19患者の同居家族または共同生活者等の濃厚接触者は対象外)とし,「抗体産生不全あるいは複合免疫不全を呈する原発性免疫不全の患者」,「積極的な治療を受けている血液悪性腫瘍の患者」,「肺移植レシピエント」,「固形臓器移植(肺移植以外)を受けてから1年以内の患者等 全10類型」としている。なお,薬剤費以外の手技料等は,自己負担(3,100円以下で医療機関が設定)となっている。
薬剤は,一般流通は行わずに,厚労省が所有し,対照医療機関に配分(無償譲渡)する。本剤の配分を受けるには,一定の要件を満たした医療機関が,府に申し出て,府から厚労省にリストを提出することになっている。
⑴ 血中ミオシン軽鎖(Myl)9濃度
千葉大学の研究グループは,COVID-19死亡例の剖検標本を分析し,SARS-CoV-2感染が局所炎症部位および全身免疫系に及ぼす影響を検討した。肺動脈血管壁にSARS-CoV-2のスパイク蛋白に対する免疫反応性がみられ,中膜にSARS-CoV-2粒子が認められ,浮腫をともなう滲出性血管炎を呈していることが分かった。また,COVID-19死亡例の肺には血小板活性化因子トロンボスポンジン(TSP)-1発現CD163陽性非定型単球が浸潤しており,炎症局所において血小板活性が誘導されることが示唆された。滲出性血管炎を呈する動脈には微小血栓の形成がみられ,血小板由来のミオシン蛋白質の制御成分であるミオシン軽鎖(Myl)9/12の沈着が検出された。これらのことから,SARS-CoV-2感染による血管炎が血小板を活性化し,Myl9の放出および炎症組織周辺の微小血管における網目状構造の形成につながると考えられた。
研究グループは,血液中のMyl9濃度に着目し,2020年7月下旬~21年3月にPT-PCRによりSARS-CoV-2感染が確定診断された20歳以上のCOVID-19入院患者123例における血中Myl9濃度をELISA法で調べた。血中Myl9濃度は,健康成人および敗血症患者,心臓血管手術患者と比べて,COVID-19患者で有意に高かった。次いで,COVID-19の重症度を4群に分けて血中Myl9濃度を比較したところ,性と年齢を調整後も血中Myl9濃度は重症度が高い群ほど髙値であること,入院日数と相関することが明らかになった。血中Myl9濃度と血液マーカーの相関を検討すると,好中球数,白血球数,LDH値,インターロイキン-8,D-ダイマーと正の相関が認められた(すべてp<0.0001)。
これらの知見から,血中Myl9濃度はCOVID-19に関する早期からの重症化判定および予測のマーカーとして有用と考えられた。今後,血中Myl9濃度の簡易キットの開発,さらにはヒト型Myl9を標的とした新規治療法の開発が期待される。また,ヒト型Myl9抗体の作成に成功しており,Myl9はCOVID-19による血栓症や血管炎予防の治療標的となりうる,としている。
⑵ COVID-19罹患後症状
① 長期発生率
COVID-19罹患後症状に関するこれまでの検討では,COVID-19診断前の状態や,SARS-CoV-2非感染者における同様の症状の有病率や重症度を考慮した検討は行われていなかった。オランダの研究グループは,学際的前向き住民ベース観察コホート試験で,健康状態や健康に関連する生活習慣などを評価するLifelines試験のデータを基に,COVID-19診断前の状態や,SARS-CoV-2非感染者とのマッチングコントロールで補正し,COVID-19に起因する罹患後症状の発生率を明らかにした。
76,422例(平均年齢53.7±12.9歳,女性46,329例(60.8%))が,合計883,973回の質問に回答し,このうち4,231例(5.5%)がCOVID-19の診断を受けた被験者で,8,462例の対照とマッチングされた。COVID-19陽性の被験者において,COVID-19後90~150日時点で認められた持続する全身症状は,胸痛,呼吸困難,呼吸時の疼痛,筋肉痛,嗅覚・味覚障害,四肢の刺痛感,咽喉頭異常感,熱感と冷感の交互出現,腕・脚のだるさ(重い感じ),全身倦怠感・疲労感で,これらの10種類の症状を「Long COVIDの中核症状」と定義し,COVID-19前およびマッチング対照と比較した。
一般集団のCOVID-19患者のうち12.7%(8人に1人)が,COVID-19後にこれらの持続症状を経験すると推定された。またこれらの持続症状の少なくとも1つを有し,COVID-19診断時またはマッチング規定時点から90~150日時点で中等症以上に大幅に重症度が増していた被験者は,COVID-19陽性被験者で21.4%(381/1,782例),COVID-19陰性の対照被験者では8.7%(361/4,130例)だった。
以上から,COVID-19患者の8人に1人において,診断後3か月の時点で持続していた中核症状の原因はSARS-CoV-2感染であると考えられ,今後の研究で,罹患後症状の原因やメカニズムを解明する必要があり,さらにはワクチン接種および変異株の影響についても検討すべき,としている。
② 味覚と嗅覚障害の長期化
シンガポールの研究グループは,PubMed,Embase,medRxivなどの2021年までの検索で,18歳以上で嗅覚または味覚障害を有するCOVID-19患者を対象にした観察研究を抽出し,time-to-event曲線を含む記述的予後研究と,予後因子に関する試験を分析対象とし,システマティック・レビューとメタ解析を行った。主要アウトカムは嗅覚または味覚障害が残る患者の割合,副次アウトカムは嗅覚・味覚の回復に関連する予後変数のオッズ比(OR)とした。
4,180のレコードから18試験(被験者総数3,699例)を抽出し,個別被験者データ・メタ解析を行った。パラメトリック治療モデルでは,全患者のうち自己申告による障害持続者の割合は,嗅覚が5.6%(95%CI:2.7-11.0,I2=70%,τ2=0.756,95%予測区間(PI):0.7-33.5),味覚が4.4%(95%CI:1.2-14.6,I2=67%,τ2=0.684,95%PI:0.0-49.0)と推定された。感度分析では,この結果は過小評価である可能性が示唆された。
30日,60日,90日,180日時点の嗅覚回復率は,それぞれ74.1%(95%CI:64.0-81.3),85.8%(77.6-90.9),90.0%(83.3-94.0),95.7%(89.5-98.3)だった(I2=0.0-77.2%,τ2=0.006-0.050)。同様に味覚回復率は,それぞれ78.8%(70.5-84.7),87.7%(82.0-91.6),90.3%(83.5-94.3),98.0%(92.2-95.5)だった(I2=0.0-72.1%,τ2=0.000-0.015)。
女性は男性に比べて,嗅覚・味覚障害が回復しにくい傾向がみられた。嗅覚障害を困難にする要因としては,初期障害が重度であったこと,鼻づまり,が認められた。
COVID-19患者のかなりの割合で,長期にわたり嗅覚や味覚に変化を生じる可能性があり,このことがCOVID-19罹患後症状の負荷を増す可能性も示唆された。
③ 小児のCOVID-19罹患後症状
成人のCOVID-19罹患後症状に関する報告は数多くあるが,小児について検討した質の高い研究は少ない。カナダの研究グループは,Pediatric Emergency Research Network COVID-19 Study に参加している8か国(アルゼンチン,カナダ,コスタリカ,イタリア,パラグアイ,シンガポール,スペイン,米国)の救急外来39施設を受診した小児患者を対象に,COVID-19罹患後症状の発生率や危険因子を検討する前向きコホート研究を計画した。
核酸検査で陽性判定を受けた小児を90日後の罹患後症状を調べる症例群とし,陽性者1人につき検査陰性者2人を予備軍として登録し,症例と条件がマッチする対照群を選び出して90日後の症状を比較することにより,罹患後症状のリスクを推定した。主要評価項目のCOVID-19罹患後症状は,小児の救急外来から90日後の保護者インタビューで存在する症状,新たに発症した症状,再発した症状や健康問題とした。COVID-19罹患後症状は,心血管系,皮膚,眼科や耳鼻科の症状,消化器系,神経・精神系,呼吸器系,全身症状に分類した。
2020年3月7日~21年1月20日までにネットワークに登録された8,642人の小児のうち,2,368人(27.4%)がSARS-CoV-2陽性で,そのうち2,365人(99.9%)について救急部門受診時のデータが得られ,1,884人(79.7%)が90日後までの追跡を完了した。1,884人の年齢中央値は3歳(四分位範囲0~10歳)で,994人(52.8%)が男児であった。救急受診時の症状として多かったのは,発熱1,241人(65.9%),咳917人(48.7%),鼻漏または鼻閉893人(47.7%)などであった。
罹患後症状が報告されたのは1,884人中110人(5.8%:95%CI 4.8-7.0%)であった。COVID-19で入院した447人中44人(9.8%:7.4-13.0%)と,入院しなかった1,437人中66人(4.6%:3.6-5.8%)で,両群の発生率の差は5.3%(2.5-8.5%)だった。
90日時点で報告された症状がSARS-CoV-2感染後の小児に特異的なものかどうかを検討するために,陽性の1,884人と,救急部門受診時の検査で陰性だったが90日追跡できた小児に対してマッチングを行い,陽性者1,686人について,入院の有無,居住国,組み入れ日などがマッチする陰性小児1,701人を同定した。陰性小児と比べると,陽性小児は,90日時点で罹患後症状を有している可能性が高かった。救急受診から14日以内に入院した小児では,陽性群391人中40人(10.2%:7.4-13.7%)と陰性群380人中19人(5.0%:3.0-7.7%)に罹患後症状/健康上の問題が認められ,両群の差は5.2%(1.5-9.1)だった。一方,入院しなかった小児ではそれぞれ,1,295人中55人(4.2%:3.2-5.5)と1,321人中35人(2.7%:1.9-3.7)で,差は1.6%(0.2-3.0)であった。
入院した小児で,両群の発生率に差が見られた罹患後症状/健康上の問題は,心血管系症状(差は1.5%:0.2-3.3)だった。入院しなかった小児では,両群の発生率の差が大きかったのは,全身性の罹患後症状(差は1.2%:0.4-2.1)だった。
陰性だった小児と比較すると,SARS-CoV-2陽性では,救急部門受診から90日後に何らかの罹患後症状が見られるリスクが有意に高く(調整オッズ比1.63:1.14-2.35),特に全身性の症状(疲労感,筋力低下,発熱)と関連がみられた(同2.44:1.19-5.00)。
他の解析では,初回受診時に入院を経験した患者,受診時の症状が多かった患者,年齢の高い小児患者などが危険因子と考えられ,小児でもSARS-CoV-2感染と90日後の罹患後症状の報告には関連がみられるため,急性症状消失後も観察を継続すべきと結論づけている。
⑶ フェイスシールドの飛沫防御効果
COVID-19のパンデミックが宣言されて以来,フェイスシールドを着用する人が多くなったが,英国の研究グループの検討で,フェイスシールドによる感染につながる飛沫を防御する効果について検討した。13種類のフェイスシールドについて,実験室において機械装置で人間の咳が出す飛沫の量や速度,粒子サイズをシミュレーションした「咳」を作り,それをフェイスシールド装着のマネキンの頭部に向かって放出し,それぞれのフェイスシールドの防御効果を比較した。
いずれのフェイスシールドにも,ある程度の防御効果はあるものの,飛沫に対して高レベルの防護効果を示すものがないことが明らかになった。またフェイスシールドの形状や,咳を受けるときの頭部の方向け方によって防御効果は異なっていた。例えば,頭部を後ろに傾けた場合は,広がった下部の隙間から入り込む飛沫量が増える。側面や下部あるいは上部の隙間が広いと,放出された飛沫が顔に到達する可能性がある。最も防御効果が高かったフェイスシールドは,額の左右と顔を側面をしっかりと覆い,顎の下まで届くものであった。但し,この実験は,フェイスシールドをした人の近くで誰かが激しい咳をした場合を想定したものであることを念頭におくべきで,単なる会話などで飛沫がフェイスシールドの周りから顔面まで到達する可能性は咳の場合よりもはるかに低い。
⑷ 見直しの再検討が必要な感染対策
SARS-CoV-2の詳細が判明しておらず,治療薬やワクチンがなかったパンデミック宣言後の2020年に,様々な感染対策や社会的行動制限が導入された。新型コロナのワクチン接種が進み,また種々の治療薬の臨床導入されてきた現在,これらの様々な対策が見直されることなく,続けられている。現時点で,エビデンスのない感染対策は見直されるべきと思われる。マスク装着と換気は,これからも継続する必要があることが大前提である。
医療機関の受付のみならず,様々な業種の対面業務の場面で,アクリル板やビニールカーテンが定着している。感染拡大の当初にマスクをはじめとするや種々の個人防護具(PPE)が流通不足に陥り,その飛沫防止の代替策としてこれらが位置づけられた。ビニールカーテンは設置の仕方によっては換気を妨げ,かえって感染拡大に繋がることが指摘されており,マスク装着ができる場合にはビニールカーテンは不要と考えて差し支えない。マスク装着をしない飲食店等では,適切な方法での設置と使用は継続されることになる。
スーパーマーケットやコンビニのレジ,銀行等のATMなどで,間隔を空けて並ぶことが当たり前のようになっているが,マスク装着をしていれば,厳格なソーシャルディスタンスは不要と思われる。
SARS-CoV-2が飛沫感染だけでなく,乾燥した環境でも数日間存在するため接触感染を起こすという理由によると思われるが,金銭の受渡しをトレーで行うことが各種の店舗のみならず薬局や医療機関でも見受けられることが多い。意味のある対策とは思えない。
公共施設の洗面所やトイレのハンドドライヤーの使用による感染拡大が起こるかどうかのエビデンスはないが,経団連のガイドライン(2020年策定)ではハンドドライヤーの使用中止が推奨されていた。しかしその後の実験や検証の結果を踏まえて,翌年には当該記述は削減されている。公共施設では定期的な清掃が行われており,十分な消毒等がなされていれば,使用中止する必要はない。これによりデパートなどではハンドドライヤー使用が再開されてきている。しかし「外食業の事業継続のためのガイドラインに」には,今もこの記載があることから,当面は飲食店での使用中止が続くと思われる。
多くの公共施設および医療機関の入り口で,標準的に行われている検温も再考されるべき対策と思われる。COVID-19の感染源の内訳は,発症前感染者が約45%,有症状者が約40%,環境のウイルスが約10%と報告されているが,このことから検温で把握できるのは感染源となる人の半分以下にすぎないことになる。検温によってSARS-CoV-2感染者を敷地内に入れないという発想であるが,無症状陽性者を含めて多くの感染源となる者が多数存在している現時点では,検温での排除には限界がある。但し,発熱していることを自覚していない感染者をスクリーニングするという意味では,医療機関では継続して行うことは妨げられるものではないが,その他の施設での必要性は意義が少ないと思われる。
社会経済活動の活発化,ウィズ・コロナを謳うのであれば,厚労省が中心となり経済産業省などを含めた政府の新たな感染対策の指針が出されるべきであろう。
<資料>
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#「「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き」の改訂について」(8月1日,事務連絡,厚労省健康局)
#「新型コロナウイルス感染症に係る医療機関・保健所からの証明書等の取得に対する配慮に関して」(8月2日,厚生労働大臣)
#「国民の皆さまへ 限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診及び救急車利用に関する4学会声明 ~新型コロナウイルスにかかったかも?と思った時にどうすればよいのか~」(8月2日,4学会連名声明,日本感染症学会/日本救急医学会/日本プライマリ・ケア連合学会/日本臨床救急医学会)
#「「感染拡大抑制の取り組み」と「柔軟かつ効率的な保健医療体制への移行」についての提言」(8月3日,第93回COVID-19対策アドバイザリーボード)
#「発熱外来等での抗原定性検査キットの配布及び都道府県への抗原定性検査キットの配布に関する質疑応答集について(vol.3)」(8月3日,日医発第852号(健Ⅱ)(地域)(技術)(保険),日医感染症危機管理対策室)
#「新型コロナウイスル感染症に係る健康観察の簡略化・迅速化について(依頼)」(8月4日,京都市保健所長)
#「オミクロン株の特徴に合わせた医療機関や保健所の更なる負担軽減の対応」(8月4日,対策本部決定)
#「オミクロン株のBA.5系統への置き換わりを見据えた感染拡大に対応するための医療機関・保健所の負担軽減等について」(8月4日,事務連絡,厚労省対策推進本部)
#「高齢者施設等における経口抗ウイルス薬(ラゲブリオⓇカプセル及びパキロビッドⓇパック)の活用方法について(再周知)」(8月5日,事務連絡,厚労省対策推進本部/医薬・生活衛生局/老健局)
#「新型コロナウイルス感染症に関する医療機関への助成金等に関する不審な勧誘等について(再周知)」(8月5日,事務連絡,厚労省医政局/健康局)
#「効果的かつ負担の少ない医療現場における感染対策の徹底について」(8月5日,事務連絡,厚労省対策推進本部/医政局)
#「救急医療等のひっ迫回避に向けた対応について」(8月5日,事務連絡,厚労省対策推進本部)
#「「オミクロン株のBA.5系統への置き換わりを見据えた感染拡大に対応するための医療機関・保健所の負担軽減等について」の一部改正について」(8月8日,日医発第879号(健Ⅱ),日医感染症危機管理対策室)
#「新型コロナワクチン追加接種(4回目接種)に使用するモデルナ社ワクチンの配分等について」(8月8日,事務連絡,厚労省健康局)
#「発熱外来等での抗原定性検査キットの配布及び都道府県への抗原定性検査キットの配布に関する質疑応答集について(vol.4,5,6)」(8月8日,日医発第882号(健Ⅱ)(地域)(技術)(保険),日医感染症危機管理対策室)
#「武田社ワクチン(ノババックス)の配分等について(その5)」(8月8日,事務連絡,厚労省健康局)
#「オミクロン株に対応した新形コロナワクチンの接種体制確保について」(8月8日,事務連絡,厚労省健康局)
#「新型コロナウイルス感染症に係る医療機関・保健所からの証明書等の取得に対する配慮に関する要請について(協力依頼)」(8月10日,事務連絡,厚労省対策推進本部)
#「新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(ラゲブリオⓇカプセル)の薬価収載に伴う医療機関及び薬局への配分等について(再周知)」(8月10日,事務連絡,厚労省対策推進本部/医薬・生活衛生局)
#「お盆期間中の発熱外来診療体制の確保について(要請)」(8月10日,日医発第904号(地域)(健Ⅱ),日医)
#「オミクロン株のBA.5系統への置き換わりを見据えた感染拡大に対応するための医療機関・保健所の負担軽減等について」(7月22日;8月12日最終改正,事務連絡,厚労省対策推進本部)
#「直近の感染状況を踏まえた診療・検査医療機関における経口抗ウイルス薬に係る登録状況の点検・公表について」(8月12日,日医発第915号(健Ⅱ)(地域)(技術),日医)
#「「オミクロン株のBA.5系統への置き換わりを見据えた感染拡大に対応するための医療機関・保健所の負担軽減等について」の一部改正について」(8月15日,日医発第917号(健Ⅱ)(地域)(健Ⅰ),日医感染症危機管理対策室)
#「新型コロナウイルス感染症における傾向抗ウイルス薬(ラゲブリオⓇカプセル)の医療機関及び薬局への配分について(別紙及び質疑応答集の修正)」(8月15日,事務連絡,厚労省対策推進本部)
#「一般用新型コロナウイルス抗原定性検査キットに係る製造販売承認申請の取扱いについて」(8月17日,事務連絡,厚労省医薬・生活衛生局)
#「オミクロン株のBA.5系統への置き換わりを見据えた感染拡大に対応するための医療機関・保健所の負担軽減等について」(8月16日最終改正,事務連絡,厚労省対策推進本部)
#「医療用解熱鎮痛薬の安定供給について」(8月19日,事務連絡,厚労相医政局)
#「病床や救急医療のひっ迫回避に向けた宿泊療養施設や休止病床の活用等について」(8月19日,事務連絡,厚労省対策推進本部)
#「学校で児童生徒等や教職員の新形コロナウイルスの感染が確認された場合の対応ガイドラインの改訂について」(8月19日,事務連絡,文科省初等中等教育局)
#「夏季休業明けにおける新型コロナウイルス感染対策について」(8月19日,事務連絡,文科省初等中等教育局)
#「新型コロナウイルス感染症の研究用抗原定性検査キットに関する留意事項について(その2)」(8月19日,事務連絡,厚労省対策推進本部)
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