2022年11月1日号
1.最近の中央情勢について
7月下旬から9月中旬にかけての社会・医療保険状況について,◆社会保険診療報酬支払基金は,オンライン資格確認の導入により原審査の返戻レセプトが年間約43 万8,000 件減少するとの推計を発表。◆政府は,「2023 年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」における社会保障関係費について,前年度当初予算の年金・医療等の経費相当額である34.1 兆円に「高齢化等にともなういわゆる自然増として5,600 億円を加算した額の範囲内において要求する」ことを認めた。◆中医協はオンライン資格確認の来年4月からの原則義務化や診療報酬上の加算の見直しに関する議論に着手。後藤茂之厚生労働相から諮問を受け,厚労省は義務化の対象外とする範囲について,現在紙レセプトでの請求が認められている医療機関・薬局とすることなどを提案した。◆中医協は8月10 日の総会で,「医療DX の基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付けおよびこれにともなう診療報酬上の加算の取り扱いについて」などを後藤茂之厚生労働相に答申した。医療DX推進の観点から,診療情報を取得・活用した質の高い医療を実施する体制の評価については,現行の「電子的保健医療情報活用加算」を廃止して「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設し,マイナンバーカードを保険証として利用すると患者負担が高くなる現行加算の弊害を是正する設計に変更される。◆厚生労働省は,看護の処遇改善と,医療DX の基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付け及び診療報酬上の加算に関する2022 年度診療報酬改定(10 月分)の官報告示にともない,関連する通知・事務連絡や疑義解釈を都道府県などに発出。◆中医協総会にて,今月末で委員を退任する診療側の城守国斗委員(日医常任理事)が退任挨拶を行い,中医協に対して「安易に守備範囲を狭めてはいけない」と強調した。◆長島公之日医常任理事は9月14 日の会見で,オンライン資格確認の導入を加速させていく取組みの一環として,8月31 日付の都道府県医宛ての文書で,オンライン資格確認を導入していない原則義務化の対象となる全医療機関の医師に,導入に向けたシステム事業者からの見積もりの取得を依頼したと明かした。◆新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについて,令和4年9月30 日まで算定できることとされていた二類感染症患者入院診療加算(250 点) および電話や情報通信機器による療養上の管理に係る点数(147 点)に関して,令和4年10 月31 日までの間,引続き,算定が可能となった―といった話題を中心に説明した。
2.学術講演会の今後の予定について
10 月に予定している府医学術講演会を紹介し,参加を呼びかけた。
3.京都市介護認定審査会の運営について
令和5年度に審査会委員が改選となることから,引続き各地区医に協力を依頼した。また,令和5年4月1日以降に開催される合議体の審査対象について,各区の合議体に当該区の申請者を割り当てても,なお審査会開催に必要な件数に満たない場合に限り,他区の申請者を割り当てて,審査判定を行うことになったと報告。京都市は今回の変更により,処理日数の短縮や各委員の負担の平準化,審査件数不足にともなう休会の回避が期待でき,より効率的な運営を目指す意向であると説明した。
4.麻薬免許の一斉更新について
麻薬免許の更新申請(令和2年~令和4年有効の免許保持者)と受払数量届について,期限までの提出を依頼した。特に,免許が失効した場合,麻薬の取り扱いはもとより,在庫の所有についても麻薬および向精神薬取締法違反として厳重に罰せられることを説明し,申請忘れには十分留意するよう呼びかけた。
また,今年度より京都府が収入証紙の販売を終了したことにともない,更新手数料の納付方法が,京都市内で薬務課に申請する場合と京都市外で保健所に申請する場合,納付済証等による納付へと変更されたことを報告した。
最後に,更新手続や麻薬の在庫の有無にかかわらず,数量届の提出は必須であるため,会員への周知徹底を求めた。〔京都医報: 令和4年9月15日号(No.2205)付録参照〕
5. 季節性インフルエンザワクチンの供給について
9月27 日に開催されたワクチン確保検討会の検討結果を受けて季節性インフルエンザの供給について説明。
4価インフルエンザワクチンが導入されて以降,過去最大の供給量(約3,521 万本)となる見込みであり,そのうちの半数が9月末までに出荷され,11 月末までには出荷完了予定であると説明。また,新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種が可能となったことも報告した。
令和元年度以降,インフルエンザワクチンの返品率が上昇傾向にあることから,必要に応じたワクチン数を発注するよう呼びかけた。
6.第31 回日本医学会総会について
令和5年4月21 日(金)〜 23 日(日)に 東京国際フォーラムおよび丸の内・有楽町エリアで開催される第31 回日本医学会総会について,Webも併用したハイブリッド開催となることと併せて,参加申し込みが10 月末までであることを案内。参加登録料について,11 人で申し込むと1人分無料になる団体登録割引が適用されることを説明し,参加を呼びかけた。
1. パーソナル・ヘルス・レコード(PHR,個人健康情報管理)について
府医より,PHR(パーソナルヘルスレコード)とは,個人の健康・医療・介護に関する情報のことを指し,現状,各医療機関や薬局等様々な場所に保存されている個人の健康情報を一元化し,自分自身で生涯にわたって時系列的に管理・活用することで,様々なサービスに利活用しやすくすることを目的として,すでに民間事業所を中心に広まりつつあると説明した。
厚労省は今後,マイナポータルを通じて自身の健康情報を統一した様式で閲覧できるようにし,一括管理していくことで,災害時等にも情報の利活用ができるようにしていく意向であるとした。
しかし,現在はPHR として取り扱うデータの範囲や,健診結果等の様式が統一されておらず,今後,健康情報の一元化や利活用の実現にはある程度の標準化が必要であるため,ガイドラインを作成することで全国的に様式を統一していく予定であるとした。すでに特定健診等のフォーマットが各市町村に示されているものの,その導入は各市町村に委ねられているため,足並みが揃っていないのが現状であると指摘した。
さらに,現在,様々な場所に保存された多様な健康情報のデータが二次利用される可能性があり,業者による不適切なリコメンドに繋がる恐れがあることや,マイナポータルで一元管理する際のセキュリティの問題を指摘した上で,適切な管理体制が構築されるよう,ガイドラインの策定に向けて積極的に提言していく意向を示した。
2. オンライン資格確認説明会の開催に係る要望について
府医より,オンライン資格確認の導入の義務化について,義務化の対象となるのは,レセプトをオンライン請求している医療機関または電子媒体(CD-R やフロッピーディスク等)で請求している医療機関であり,紙レセプトで請求されている医療機関は義務化の対象外であると説明した。
また,オンライン資格確認の導入にかかる補助金について,複数ある顔認証付きカードリーダーの中からレセコンと連携可能なものを申し込み,令和5年2月までに契約を結ぶことで,診療所は顔認証付きカードリーダー1台が無料,導入に係るネットワーク環境の整備費用などについては42.9 万円を上限に補助を受けることができると説明。カードリーダーの業者ごとに定めている締め切り日を前提に検討するよう呼びかけた。
次にオンライン資格確認の導入に向けて,まずはレセコン業者に見積もりを依頼する必要があることから,改めて広報する予定であるとした。〔京都医報:令和4年10月1日号(No.2230)付録参照〕 さらに,現在,オンライン資格確認を導入されていない会員を対象としたアンケート行い,現状や課題点を取りまとめた上で,日医を通じて厚労省に提言し,実態に沿った運用を要望していく意向を示し,アンケートへの協力を求めた。
最後に,日医や厚労省の説明動画を参照するよう案内し,その上で要望や課題があれば,オンライン資格確認に係る説明会の開催を検討していくとした。