2022年11月1日号
設問1 原因不明塞栓:embolic stroke of undetermined source(ESUS)について正しいものはどれか?
① ESUS の定義は,ラクナ梗塞,アテローム血栓性梗塞,心源性脳塞栓を除くすべての脳梗塞が相当する。
② ESUS における年齢,危険因子合併などの背景因子は,心房細動にともなう脳塞栓症群とほぼ共通している。
③ ESUS においては,抗凝固療法が有用であろうとの仮説で,NAVIGATE ESUS とRE-SPECT ESUS の大規模試験が施行されたが,双方とも抗血小板療法に対する抗凝固療法の有意性を示すことができなかった。
④ ESUS の大規模試験における再発例では,心房細動が検出される例が多く含まれていた。
⑤ NAVIGATE ESUS 試験では,脳出血の頻度は抗血小板療法と抗凝固療法で差がみられなかった。
解答1 ③
解説1
① 脳梗塞3病型以外にも,動脈解離や血管炎,凝固異常など原因の明らかなものは除外。
② ESUS では年齢はやや低く,危険因子合併も少ない傾向がある。
④ ESUS における再発例では,やはり原因の見出せないESUS が多い。
⑤ NAVIGATE ESUS 試験では,DOAC 投与例で脳出血の頻度は増大した。
設問2 原因不明塞栓:embolic stroke of undetermined source(ESUS)について間違っているものはどれか?
① ESUS 患者において,追跡中に再発を起こし心房細動が見出された患者では,重症者が多い。
② 脳塞栓とDWI 高信号の関係では,心房細動は,内頚動脈や中大脳動脈主幹部,脳底動脈先端などの大径の塞栓症が多く,また皮質梗塞が多発する傾向がある。
③ 脳全体に多発性の散在性小梗塞をきたす場合は,がんによるトルソー症候群,大動脈弓部プラークなどがある。
④ 心房細動の左房内栓子は,フィブリンと血小板が強く絡まったものが多く,静脈血栓などの赤血球が優位な血栓とは異なっている。
⑤ ESUS 患者において,AF を自動的に記録するイベントレコーダー群をもちいて目標30 日モニターした群と,従来の24 時間ホルターECG だけの場合では,AF の検出率に差はなかった。
解答2 ⑤
解説2 長時間にわたるECG モニターでは,より高頻度にAF が検出される。
設問1 片頭痛治療薬の説明で正しいのはどれか?
① 経口予防薬は複数あるが,すべて頭痛発現メカニズムに直接作用する。
② 抗CGRP 関連抗体薬は効果発現に2~3ヵ月を要する。
③ 抗CGRP 関連抗体薬は片頭痛の確定診断がなされれば投与できる。
④ バルプロ酸は安全性が高く妊婦に投与しても問題はない。
⑤ 妊娠中は原則薬剤の使用は禁止であるがどうしても必要な場合プロプラノロールが使用される。
解答1 ⑤
設問2 片頭痛治療薬の説明で正しいのはどれか?
① 片頭痛の特異的急性期治療薬にはトリプタン製剤とジタン系製剤がある。
② ラスミジタンは心血管・脳血管障害のある患者にも安全に投与できる。
③ 急性期治療薬は片頭痛発作のたびに使用でき服薬回数の制限はない。
④ 薬剤の使用過多による頭痛には原因となった急性期治療薬を中止しなければならない。
⑤ 月経時の片頭痛は重症なものが多いが,トリプタン製剤・ジタン系製剤は両剤とも有効性が高い。
解答2 ①,②
設問1 糖尿病は肝硬変に影響するだろうか?
解答1 糖尿病や糖代謝異常は,合併症の増悪や肝発癌など肝硬変の病態に負の影響を与えるので,適切に管理・介入することが推奨される。
設問2 ウイルス学的著効(SVR)が得られたC型肝硬変では線維化が改善するか?
解答2 SVR が得られると,線維化が改善する。
設問1 腎性貧血について正しいものはどれか?
① 腎性貧血は小球性低色素性を特徴とする。
② 腎性貧血は,腎臓において適切にエリスロポエチンが産生されないことによって引き起こされる。
③ エリスロポエチン産生細胞は腎糸球体に存在する。
④ うっ血性心不全と腎性貧血の間に関連は全くない。
解答1 ②
設問2 HIF-PH 阻害剤について誤っているものはどれか?
① HIF-PH 阻害剤は腎性貧血治療薬である。
② HIF-PH 阻害剤は注射製剤である。
③ HIF-PH 阻害剤は2019 年に発売された。
④ HIF-PH 阻害剤はプロリン水酸化酵素を阻害しHIFαの核内移行を促進する。
解答2 ②
設問1 酸関連疾患のacid control の重要項目は何か?
解答1
・ プロトンポンプ阻害薬(PPI)の酸分泌抑制は,ピロリ菌陽性患者では十分な効果を発揮するが,ピロリ菌陰性患者では不十分なことがある。
・ P-CAB(Potassium-Competitive Acid Bloker)はピロリ菌の有無に左右されず安定した酸分泌抑制が得られる。
設問2 ピロリ菌感染率の低下で酸関連疾患はどう変わったか?
解答2
・ 消化性潰瘍患者数は激減したが,一方でGERD(胃食道逆流症)は増加した。
・ 高齢社会を背景にLDA/NSAIDs の使用が増え出血性潰瘍の相対頻度が高まっている。
設問3 胃潰瘍は高齢社会ではどう対応すべきか?
解答3
・ かつてのピロリ陽性時代では,若年・壮年期に多かったピロリ起因性潰瘍は発症してからの治療で対応できた。
・ しかし,ピロリ陰性時代の現在,高齢者に対しては出血を予防することが最も重要である。
設問1 術後せん妄の予防に重要な因子は,睡眠と●●である。●●に入るものはなにか?
解答1 鎮静・鎮痛
設問2 “Triple whammy”(3段攻撃)といわれる3者併用薬剤で高率に腎機能障害を生じる組み合わせは●●と②利尿剤と③ ACE 阻害またはARB である。●●に入る薬剤はなにか?
解説2 NSAIDs
設問3 骨質劣化型骨粗鬆症と関連する生活習慣病は●●と②慢性閉塞性肺疾患と③動脈硬化疾患である。●●に入る疾患はなにか?
解答3 糖尿病
設問1 骨形成にはふたつのメカニズムがある。頭蓋骨などは膜性骨化,多くの長管骨は内軟骨性骨化によるが,鎖骨の骨化はどちらのメカニズムか。
解答1 膜性骨化
設問2 世界中で間葉系幹細胞によるOA の再生治療が試みられている。その利点はなにか。
解答2 間葉系幹細胞は患者本人から得ることが比較的簡単(骨髄,末梢血,脂肪など),かつ臍帯血など新生児から得ることも可能。
閉鎖空間である関節腔への注入により効果が期待できる。
(札幌医大が脊髄損傷治療にもちいた間葉系幹細胞は静脈注射)
多くの患者で試験され,ある程度の効果を得ているが,現時点では代替治療のひとつでfirst choice にはならない。