2020年4月1日号
府医および京都府地域医療支援センターでは,臨床研修医(1,2年目)を対象とした「研修医ワークショップ in 京都」(以下,ワークショップ)を令和2年2月9日(日),府医会館にて開催した。
「京都府全体で次代の良医を育てる」という理念を掲げる府医では,学びの場の創出に注力しており,今回のワークショップもその一環として行われ,当日は研修医と現役の医大生37 名が参加した。
今回のワークショップのテーマは,「救急外来実技トレーニング」。若手医師がトレーニングの企画・構成・指導(講師)を担当し,参加者が真剣に取組む姿が見られた。
上田府医理事より府医の理念や主な取組み,ワークショップの主旨などが述べられるとともに,10 月24 日( 土)に開催する「令和2年度全国医師会勤務医部会連絡協議会」ならびに翌25 日(日)開催の「全国版 臨床研修屋根瓦塾KYOTO」を紹介,参加を呼び掛けた。
今回の救急外来実技トレーニングは,「外傷〜胸腔穿刺」,「胸痛〜気管挿管」,「意識障害〜CVC 穿刺」3つのトレーニングを設け,それぞれ“シミュレーション→講義→振り返り”の構成で実施。参加者は3班6グループに分かれ,まずはシミュレーターを使ったシミュレーションに臨んだ。
各トレーニングとも,最初に具体的な患者の状況が説明され,所見・診断・検査の依頼・治療など,救急外来ですべき初期対応について話し合われた。講師を務める若手医師は,現場で注意すべきポイントを交えながら,この後行う手技の手順をレクチャー。参加者は緊張した面持ちで話を聞いていた。
シミュレーションは各チームでリーダーを決め,決まった手順に沿って処置を体験。この際も随時,講師が解説やアドバイスを行い,参加者からはさまざまな質問が出るなど,実践的なトレーニングならではの内容となった。また,トレーニングの合間に講師やチームのメンバー同士で意見交換をするなど,積極的な姿勢が伝わってきた。
先に体験した症例の処置について,重要事項の再確認とより詳しい解説が行われた。参加者へのヒアリングでは,「シミュレーションをしてから説明を受けることで,具体的なイメージが描きやすい」という意見が多数挙がった。
最初のシミュレーションと講義を踏まえた上で,再度シミュレーションを実施。リーダーを交代し,できる限り多くの参加者が実践的なトレーニングを体験できるように工夫された構成となっていた。
この頃になると参加者の緊張も和らぎ,より活発に質問や意見交換が行われるようになった。
トレーニング終了後,恒例のチーム対抗早押しクイズが行われ,トレーニングに関する復習問題や遊び心のある問題が出題された。トレーニングの評価とクイズの成績を合わせた,優秀チームとMVP の発表・表彰が行われた。参加者へのヒアリングでは,「救急に関する手技を体験できて有益だった」という声を多く聞くことができた。
優秀チームに選んでいただき,ありがとうございます。今日のワークショップは研修医にとって大変ためになる内容で,参加して良かったと感じています。他院の先生と知り合えることも,こうしたイベントのメリットです。今日得たことを今後に活かしたいと思います。
今回のワークショップは,協力してくださった先生方のモチベーションが高く,非常に充実した内容になり,嬉しく思います。トレーニングの内容に関しては,診療科にかかわらずどんな方でも役立つように心がけ,さらに体験したことが身につきやすいように,“シミュレーション→講義→振り返り”という流れにしました。参加していただいた研修医や学生の方々も,積極的に質問をするなど意欲が伝わってきて,手応えを感じています。内容自体はベーシックなものですが,研修医にとってははじめて体験する手技もあると思いますので,こうしたイベントは今後も継続して取組みたいと考えています。
研修医を対象にしたSNS のグループでワークショップのことを知り,参加しました。講義だけでなく,実際に身体をつかっておぼえるシミュレーションがあったところが良かったと思います。個人的には,胸腔穿刺を体験できたことが収穫でした。
去年につづき,今年も参加しました。はじまるまでは前回と同じような内容なのかなと思っていたのですが,内容も形式も違っていたので,2年連続で参加して良かったです。勤務している病院の特徴によって状況は違いますが,CVC 穿刺などはトレーニングする機会が少ないので,非常に勉強になりました。
手技のトレーニングに重点を置いた内容で,研修医同士で協力したり,意見を出し合ったりして取組んだことが楽しかったです。これまでの学習で得た知識をシミュレーションで再確認でき,自信につながりました。
今回のワークショップでは,CVC のトレーニングに関心を持っていました。シミュレーションで一通りの流れを経験できたので,現場でも落ち着いて対応する自信がつきました。
シミュレーションの後に講義で復習し,再度シミュレーションができたので,患者さんが搬送されてから治療を行うまでの全体的な流れを理解することができました。私が勤務する病院では外傷の患者さんの救急対応をする機会が少ないので,「外傷〜胸腔穿刺」のトレーニングは勉強になりました。
大学の実習でまだ救急を経験していないので,事前に少しでも知っておきたいと思い,今回のワークショップに参加しました。大学の学習では使う機会が少ないシミュレーションを使い,気管挿管のトレーニングができるなど,とても有意義でした。現場で活躍されている先輩とお話できたことも嬉しいです。研修医になっても,こうしたイベントがあれば参加したいと思います。