「京都市における医療介護・連携支援推進事業の今後の方向性」,「かかりつけ医機能報告制度」について議論

 中京東部医師会と府医執行部との懇談会が12月18日(水),ハートンホテル京都にて開催され,中京東部医師会から7名,府医から7名が出席。「京都市における医療介護・連携支援推進事業の今後の方向性」,「かかりつけ医機能報告制度」をテーマに議論が行われた。

※この記事の内容は12月18日現在のものであり,現在の状況とは異なる場合があります。

京都市における医療介護・連携支援推進事業の今後の方向性について

 地区から,医療介護・連携支援推進事業における課題は様々あるが,行政が地区医に委託した後の関わり方に問題があると指摘。医師会はこの事業の行政に対するカウンターパートであるが,区⇔区医師会という形ではなく,京都市⇔京都市域医師会連合のような形が必要な時期にあるとして,各地区連携支援センターの実務を担当する理事や行政(市と区の担当者),コーディネーターなどで,あがってきた課題について協議することからはじめてはどうかとの意見があった。
 府医は,京都市の在宅医療・介護連携支援センターは8センターがそれぞれの特色を活かし,一定の成果は得ているが,ご指摘の課題は非常に重要な問題であると考えている。京都市や区役所の担当者にとって,「委託」=「すべてを任せること(丸投げ)」に近い感覚があり,一緒に進める感覚が弱いと感じる。行政と一緒に進めるために「一緒に考える場」として,京都市,各区役所,地区医における連携支援センター長または担当理事,連携支援センターのコーディネーター,府医で構成する会議体の設置を内々に京都市担当部署に働きかけたこともあるが,設置には至ってない状況である。課題解決に向け進んでいくために具体的な事例や対応策について意見を求めた。
 地区から,府医主催の在宅医療戦略会議について,報告などの情報量が多く会議をすることが目的になっているような気がすると指摘され,課題の共有と議論が進むよう会議の目的を明確にすることによってもっと有機的な会議になるのではないかとの意見があった。
 また,京都市内の8つのセンターの共通課題として,コーディネーターとファシリテーターなどの人材確保と研修など教育の重要性があげられ,各センターで実施される研修会を各センターが相互受講するような仕組みや,人材の循環など各センターが個々で対応するのではなく,行政と協力して京都市内全域で行えるような体制が必要になるとの考えが示された。

かかりつけ医機能報告制度について

 地区から令和7年4月から施行されるかかりつけ医機能報告制度について,「内科的慢性疾患の領域科ではない,いわゆる「マイナー科」でもかかりつけ医になれるのか」,「研修を義務付けられると思うが,日医かかりつけ医研修を受講すれば良いのか」,「慢性疾患患者に対する説明の書面交付,説明の義務化とあるが,生活習慣病管理で課せられている書面とは別であるのか。対象となる疾患は。」などの質問が出された。
 令和6年7月末に厚労省の分科会において,かかりつけ医機能報告制度の概要を取りまとめられ,現在,詳細なガイドラインは厚労省が作成している段階である。令和7年に具体的な中身や研修の要件などが示される予定であり,実際に各先生方が報告するのは令和8年1月~3月の予定である。

〜報告対象の診療科などはあるか〜
 かかりつけ医とは,日医が四病院団体協議会と2013年に合同提言している「なんでも相談できる上,必要な時には専門医,専門医療機関を紹介できる医師」であり,病院の医師か,診療所の医師か,あるいはどの診療科かを問うものではないことから,すべての医師が報告可能である。
 しかし,財務省からは「一定以上の症状(20項目以上)に対して一次診療を行うことができる医療機関を報告対象とすること」と提案されたが,かかりつけ医機能を持つ医療機関を限定し,かかりつけ医と非かかりつけ医に分断してフリーアクセスに制限をかける恐れがあり,最終的には,診療報酬でかかりつけ医を包括点数によりコントロールすることも可能となることが懸念される。
 これに対して,日医は多くの医療機関が手上げできることが重要で,これまで築き上げてきた患者と医師の信頼関係をこの報告制度が壊すことがあってはならないと主張し,患者代表の委員からの理解も得て,最終的には財務省案の一部の医療機関しかかかりつけ医になれないような制度や登録制にはならなかった。

〜研修について〜
 まず,かかりつけ医機能報告制度には1号機能の報告と2号機能の報告があり,1号機能を報告したところが2号機能も報告ができる。1号機能の報告は主に3つであり,その2つ目に②かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無があるが,あくまで有無を報告するもので,研修を受けていないから報告できないというものではない。
 かかりつけ医機能報告の報告対象として該当する研修についても厚労省で検討されることとなるが,日医では現在ある日医かかりつけ医研修制度も含めて整理される予定だが,多くの会員が修了できる簡易なものにされる見込みである。

〜慢性疾患患者に対する説明の書面交付など〜
 慢性疾患患者に対する説明の書面交付は努力義務となっており,慢性疾患を有する高齢者等で概ね4カ月以上継続的に医療の提供が見込まれる場合で,患者やその家族から求めがあったときに説明することになっている。現時点では,生活習慣病管理料の療養計画書とは異なるものになると見込まれる。
 府医としても,高齢者が住み慣れた地域で自分らしい人生を全うできる社会を目指して「地域包括ケアシステム」の構築に尽力してきた。その中心的な役割を担うのが,「かかりつけ医」であり,「かかりつけ医機能」である。1人の医師がすべて担うのではなく,地域のすべての医療資源を活用することによって必要な医療を必要な時に,また,継続的に提供することができる,まさに医療をコーディネートする機能である。1人の患者を複数の医師で担当するということとも少し異なり,地域の中で患者を通じで普段から医療機関同士の連携を深めることによって,各医療機関がそれぞれの役割を理解し,機能を高め,お互いに助け合うことで,地域の面としてのかかりつけ医機能のさらなる充実を目指している。

府医からの連絡事項

 ※乙訓医師会との懇談会参照

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