「かかりつけ医機能報告制度」,「25 年度補正予算で計上された医療分野での支援と 26 年度診療報酬改定」について議論

 京都市西陣医師会と府医執行部との懇談会が2月 18 日(水),府医会館にて開催され,京都市西陣医師会から7名,府医から5名が出席。「かかりつけ医機能報告制度」,「25 年度補正予算で計上された医療分野での支援と 26 年度診療報酬改定」をテーマに議論が行われた。

※この記事の内容は,開催日時点のものであり,現在の状況とは異なる場合があります。

かかりつけ医機能報告制度について

 財務省の財政制度等審議会が昨年にとりまとめた「秋の建議」において,全人的なケアの実現に向けた「かかりつけ医機能の評価」の再構築を掲げ,かかりつけ医の制度化,診療報酬の包括化,機能強化加算や外来管理加算の廃止,さらには初・再診料の減算などが提案されたことを受けて,今般のかかりつけ医機能報告制度において1号機能を有しない医療機関に対し,初・再診料の減算等,厳しい対応がとられることが懸念されたが,現時点で具体的な議論は進んでいない。
 令和8年度診療報酬改定に関する中医協の議論でも,財務省の提案を踏まえて,支払側の委員からかかりつけ医機能報告制度と関連付けた見直しが提案されたものの,日医の委員が押し返し,今回の改定では報告制度と結びつけるような見直しは行われていない。
 医師会としてこれらの提案は全く容認できないものであり,日医も明確に反対を主張しているが,今後も財務省が同様の主張を繰り返してくることは容易に予想できる。
 かかりつけ医機能報告制度は本来,地域の医療機関がそれぞれ担う役割を報告することで,地域医療提供体制の「見える化」を図る仕組みであるが,財務省はこの制度を利用し,1号機能を有する医療機関を「かかりつけ医」,1号機能を有しない医療機関を「非かかりつけ医」として区別し,かかりつけ医を登録制にして患者一人あたりの定額払いとする「かかりつけ医の制度化」によって医療費抑制を図ることを目論んでいると考えられる。
 そのため,かかりつけ医機能報告制度においては,すべての医療機関が「かかりつけ医機能あり」と報告いただくことが何より重要であると考えている。報告する医療機関が少ない場合,財務省の目論見どおり,かかりつけ医のさらなる普及を名目に先述の提案に向けた議論が進むことが懸念される。
 また,内科以外の診療科では1号機能を有しない医療機関と判断される可能性が高くなるとの懸念については,かかりつけ医機能が「あり」となる要件の1つである「診療領域や一次診療を行うことができる疾患」は幅広い診療領域となっているため,診療科にかかわらず報告が可能である。内科以外の診療科の先生方も「かかりつけ医機能あり」と報告していただきたいと考えている。同制度は医療法に規定された報告義務のある制度であるため,各地区からも会員の先生方に必ず報告いただくよう周知をお願いしたい。

〜意見交換〜
 その後の意見交換で府医は,一次診療を行うことができる疾患に関して,医師1人ですべてを網羅する必要はなく,対応が難しい場合は専門医を紹介することで,面としてのかかりつけ医機能を発揮することが重要であるとの考えを示した。
 そのためには,多くの医療機関が自院の機能を報告することが不可欠であり,地域の実情に応じて医療機関が連携し,必要なかかりつけ医機能を確保することこそが本制度の目的であると強調した。報告が少ない場合,財務省が主張する「かかりつけ医制度化」(かかりつけ医の登録制・定額払い)に向けた議論や,初・再診料減算や加算廃止などの提案が再浮上する可能性があり,報告率の低さそのものが財務省の改革案を後押しする材料になりかねないとの懸念を示し,すべての診療科の先生方に報告いただくよう促した。

25 年度補正予算で計上された医療分野での支援と 26 年度診療報酬改定について

医療機関等向け物価高騰対策・処遇改善事業について
 2025年度補正予算による医療分野への支援は単年度措置であり,医療機関の経営を継続的に安定させるためには,診療報酬の引上げが何より重要であると考えている。
 そのような中,昨今の物価高騰等による医療機関の厳しい経営状況を踏まえ,高市政権により医療分野へ1兆円規模の補正予算が措置されたことは,大いに評価すべきものである。
 現在,京都府を窓口として「医療機関等向け物価高騰対策・処遇改善事業」として4つの支援事業が設定されている。そのうち,「医療機関等物価高騰対策事業等交付金」については,光熱費支援,食材費支援,医療材料費支援の3事業の申請受付が開始されている。無床診療所に対しては,光熱費支援事業:6万円,医療材料費支援事業:17万円の申請が可能となっている。
 また,「医療機関処遇改善等推進事業」については,対象となる診療所が「3月1日時点でベースアップ評価料を届出している施設」とされている。
 令和8年度診療報酬改定においても,ベースアップ評価料は大幅な点数引上げが予定されており,職員の賃上げに大きく寄与することが期待されているため,未届出の医療機関においては,2月中にベースアップ評価料の届出をお願いしたい。

令和8年度診療報酬改定について
 当初は,財政審の春の建議を踏まえ,診療所の診療報酬を引下げ,その財源を病院に充当する前提で議論が始まった。しかし,高市内閣の発足後,日医をはじめ医療関係団体が首相や片山財務大臣等へ働きかけを行った結果,補正予算として1兆円が確保され,改定率は3.09%のプラス改定となった。
 ただし,この「+3.09%」は,令和8年度「+2.41%」,令和9年度「+3.77%」の2年度の平均であり,令和9年度分は物価変動によって加減算される仕組みとなっているため,引続き財源確保に向けた働きかけが必要である。改定率の内訳は,賃上げ対応分が+1.70%,物価対応分が+0.76%,緊急対応分が+0.44%となっている。ただし,物価対応分および緊急対応分は病院への配分が厚く,診療所への配分は限定的である。
 外来関係点数については財政審の春の建議では,外来管理加算や機能強化加算の廃止が明記されており,中医協においても外来関係点数は削減ありきで議論が進んでいたが,最終的にプラス改定となったことから,今回は厳しい見直しは行われていない。
 なお,具体的な点数の見直し内容については,3月上旬に詳細な通知が示される予定である。
 今後,府医としては,京都医報での随時周知,改定早見表をはじめとする関連資料の作成,日医による説明動画の案内などを通じて,会員医療機関において算定誤り等が生じないよう,丁寧に周知していく考えである。

〜意見交換〜
 その後の意見交換では,ベースアップ評価料について,当初は申請の労力が見合わず届出が低調であったことに加えて,その後,届出が簡略化されたものの,手探りの状態で届出することに不安があったと回顧し,こうしたマイナスのイメージが広がったこともあって,結果として診療所の届出実績が40%程度と低調であったために,次期診療報酬改定では基本診療料に組み込むことができなかったと説明。
 ベースアップに加えて,最低賃金が上昇した一方で,パート職員はいわゆる「103万円の壁」等の問題があるため,勤務時間を減らして調整する必要が生じ,結果としてマンパワーの不足が発生したことが報告された。施策として,ベースアップだけでなく,それに合わせて税制・健康保険上の制限の緩和についても対応が検討されるべきとの指摘があった。
 その他,電子処方箋,OTC類似薬,特定機能病院等紹介患者受入加算等,幅広い話題について意見交換が行われた。

2026年4月15日号TOP