保険医療機関の遡及指定および機能移転の取り扱いについて

 保険医療機関の遡及指定および機能移転の取り扱いについては,これまで複数の通知に則って運用されてきましたが,全国一律ではなかった部分があることから,申請手続きなどを明確化するために,今般,厚労省より標記事務連絡が発出され,9月1日より適用されますので,お知らせします。
 具体的には,新たに保険医療機関の指定を受ける場合は,通常,指定日は申請した翌月の1日となりますが,開設者変更や所在地変更など旧医療機関の廃止をともなう場合,新医療機関が旧医療機関の廃止日と同日または翌日付の指定を希望する場合,認められれば遡及指定され,遡及指定日から診療報酬の算定を行うことができる取り扱いとなっています。
 また,遡及指定を希望する場合の申請手続きは,①開設者死亡等の場合,②至近の距離への移転または開設者のみの変更であって一定の要件を満たす場合,③その他(直線距離で2km超の所在地移転を行う場合など)に分けられており,③の場合は,原則として遡及指定を希望する日の3カ月前までに,地方厚生(支)局に予定届出書の届出や事前相談を行うこととされています。詳細は下記をご参照ください。

保険医療機関等の遡及指定及び
機能移転に係る施設基準等の取扱いについて

1.保険医療機関等の廃止を伴い,新たに保険医療機関等の指定を受ける場合における,例外的な取扱い(遡及指定)について

  •  対象となる事例
    •  新たに保険医療機関等の指定を受ける場合は,通常,指定に係る申請を行った翌月の1日が指定日となるが,以下のいずれかに該当し,開設者の死亡等緊急やむを得ない場合を除き,変更前の保険医療機関等(以下「旧医療機関等」という。)の廃止日の原則として同日又は翌日(以下「遡及指定日」という。)付で,変更後の保険医療機関等(以下「新医療機関等」という。)が指定を受けることを希望する場合であって,地方社会保険医療協議会(以下「地医協」という。)で認められた場合は,例外的に,遡及指定を行い,当該遡及指定日から診療報酬の算定を行うことができる。
    • 保険医療機関等の開設者変更を行う場合
    • 保険医療機関等の所在地変更を行う場合
    • 開設者を個人から法人に,又は法人から個人に変更する場合
    • 保険医療機関を病院から診療所に,又は診療所から病院に変更する場合
  •  遡及指定を希望する場合の申請手続き
    ① 開設者死亡等の場合【開設者が個人である病院,診療所及び薬局に限る。】
    •  開設者の死亡,病気等により,血族その他勤務する保険医等が引き続き開設者となって,職員及び診療録・調剤録等を引き継いで患者の診療・調剤を継続する場合であって,緊急で遡及指定の申請手続きを行う場合は,以下の手続きとするよう,管内の保険医療機関等に周知すること。
    •  なお,各手続きの期限及び必要書類の詳細については,地方厚生(支)局ごとに適切に定めること。
<申請手続き>
  • 遡及指定を希望する新医療機関等の開設者は,必要書類を地方厚生(支)局に提出すること。
    [必要書類]
    •  「保険医療機関・保険薬局指定申請書」(保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令(以下「省令」という。)様式第1号(第3条関係))等省令第3条に定められている事項が確認できる書類
    •  その他指定の適格性等を確認するために必要な書類
    •  届出を希望する施設基準の届出様式

  • 旧医療機関等の開設者の相続人等は,旧医療機関等の廃止に係る届出を行うこと。
    [必要書類]
    •  廃止の確認のために必要な書類
  • ② 至近の距離への移転又は開設者のみの変更であって一定の要件を満たす場合【病院,診療所,薬局】
    •  次のア又はイのいずれかに該当し,遡及指定の申請を行う場合であって,以下の「基本的には認める要件」を満たす場合は,以下の手続きとするよう,管内の保険医療機関等に周知すること。
      •  至近の距離(同一都道府県内における直線距離で2km 以内)への移転(開設者に変更がない場合に限る。)
      •  所在地移転を伴わず開設者のみの変更(ただし,病院及び診療所については,次のいずれかに該当する場合に限る。)
        • 変更前の開設者が個人であって,血族その他勤務する保険医等の個人に変更する場合
        • 変更前の開設者が個人であって,当該個人を代表者(理事長)とする法人に変更する場合
        • 変更前の開設者が法人であって,当該法人の代表者(理事長)を個人の開設者に変更する場合
    •  なお,各手続きの期限及び必要書類の詳細については,地方厚生(支)局ごとに適切に定めること。
<申請手続き>
  • 遡及指定を希望する新医療機関等の開設者は,必要書類を地方厚生(支)局に提出すること。
    [必要書類]
    •  「保険医療機関・保険薬局指定申請書」(省令 様式第1号(第3条関係))等省令第3条に定められている事項が確認できる書類
    •  「別紙1」の確認書類
    •  その他指定の適格性等を確認するために必要な書類
    •  届出を希望する施設基準の届出様式

  • 旧医療機関等の開設者は,旧医療機関等の廃止に係る届出を行うこと。
    [必要書類]
    •  廃止の確認のために必要な書類

  • なお,地方厚生(支)局への予定届出書の届出による事前相談の手続きは不要であるが,「基本的には認める要件」への該当性に疑義等がある場合は,必要に応じて問い合わせを行うこと。

【基本的には認める要件】
 次の全ての□に該当すること。

【複雑な事例ではないこと】

  •  1つの保険医療機関等の廃止と1つの保険医療機関等の開設を伴う事例であること(複数の保険医療機関等の廃止や複数の保険医療機関等の開設を伴う事例ではないこと)

【過去に診療・調剤した患者の引継ぎ】

  •  診療録・調剤録等の引継ぎが行われること
  •  新医療機関等において,旧医療機関等を受診した患者の診療・調剤に係る問い合わせへの対応を行うこと

【現に診療中の患者の引継ぎ】

  •  (病院・有床診療所の場合)旧医療機関の入院患者及び外来・在宅患者への診療が,新医療機関において引き続き行われること
  •  (無床診療所の場合)旧医療機関の外来・在宅患者への診療が,新医療機関において引き続き行われること
  •  (薬局の場合)旧薬局の患者への調剤が,新薬局において引き続き行われること

【標榜診療科】

  •  (病院・診療所の場合)旧医療機関における主な標榜診療科が,全て新医療機関において引き続き標榜されること

【管理者(管理薬剤師)の引継ぎ】

  •  新医療機関等の管理者(管理薬剤師)が,旧医療機関等の管理者(管理薬剤師)と同一の医師(薬剤師)であること(開設者が個人であって当該開設者が管理者(管理薬剤師)を兼ねている場合において,血族その他勤務する保険医等との間で開設者及び管理者(管理薬剤師)を同時に変更するときは,この限りではない)

【職員の引継ぎ】

  •  (病院・診療所の場合)旧医療機関で診療にあたっていた医師(常勤及び非常勤)のうち,概ね8割以上(小数点以下切り捨て)の医師が,新医療機関において常勤又は非常勤として引き続き雇用されること(所在地移転を伴わず開設者のみ変更する場合にあっては,原則として当該開設者を除く全ての職員が引き続き雇用されること)
  •  (病院・診療所の場合)旧医療機関で診療にあたっていた常勤医師のうち,概ね5割以上(小数点以下切り捨て)の医師が,新医療機関において常勤医師として引き続き雇用されること
  •  (薬局の場合)旧薬局で調剤にあたっていた薬剤師(常勤及び非常勤)のうち,概ね8割以上(小数点以下切り捨て)の薬剤師が新薬局において常勤又は非常勤として引き続き雇用されること(所在地移転を伴わず開設者のみ変更する場合にあっては,原則として当該開設者を除く全ての職員が引き続き雇用されること)
  •  (薬局の場合)旧薬局で調剤にあたっていた常勤薬剤師のうち,概ね5割以上(小数点以下切り捨て)の薬剤師が新薬局において常勤薬剤師として引き続き雇用されること
  • ③ その他の場合【病院,診療所,薬局】
    •  1.(2)①及び②に該当しない事例(直線距離で2km を超える所在地移転を行う場合,所在地移転と開設者変更を同時に行う場合,病院から診療所(診療所から病院)に変更を行う場合等)については,遡及指定の可否を慎重に判断する必要があることから,以下の手続きとするよう,管内の保険医療機関等に周知すること。
    •  なお,各手続きの期限及び必要書類の詳細については,地方厚生(支)局ごとに適切に定めること。
<申請手続き>
  • 遡及指定を希望する新医療機関等の開設者は,原則として遡及指定を希望する日の3か月前までに,地方厚生(支)局に「別紙2-1(又は別紙2-2,2-3)」の予定届出書の届出を行い,地方厚生(支)局の要請に応じて事前相談を行うこと。
    [必要書類]
    •  「別紙2-1(又は別紙2-2,2-3)」の予定届出書

  • 遡及指定を希望する新医療機関等の開設者は,必要な書類を地方厚生(支)局に提出すること。
    [必要書類]
    •  「保険医療機関・保険薬局指定申請書」(省令 様式第1号(第3条関係))等省令第3条に定められている事項が確認できる書類
    •  その他指定の適格性等を確認するために必要な書類
    •  届出を希望する施設基準の届出様式
    •  「別紙2-1(又は別紙2-2,2-3)」の届出書

  • 旧医療機関等の開設者は,旧医療機関等の廃止に係る届出を行うこと。
    [必要書類]
    •  廃止の確認のために必要な書類
  •  遡及指定の可否の判断について
    •  遡及指定の可否の決定にあたっては,
      • 新医療機関等と旧医療機関等の診療体制・機能が,一連のものとして認められるか
      • 第三者の権利関係に与える影響の観点から妥当であるか
      等の観点から,個別事例の具体的な状況を踏まえて総合的に判断する必要があり,特に 1.(2)③に該当する事例については慎重な判断を要するところであるが,保険医療機関等の経営上の予見可能性の確保と,全国統一的な運用を推進するため,以下の基準により判断することとする。
    •  なお,以下の判断基準を満たさない事項がある事例については,遡及指定は原則として認められないこととするが,例外的な事例が生じた場合については,各地方厚生(支)局において,個別具体的な状況を踏まえて総合的に判断すること。
  •  遡及指定が認められる場合における施設基準の取扱いについて
    •  旧医療機関等において届出が受理されていた施設基準
      • 新医療機関等として旧医療機関等の患者を引き続き診療すること等,診療実態が変わらないため新医療機関等としての保険医療機関等の指定を遡って行う遡及指定の趣旨を踏まえ,遡及指定日時点では,新医療機関等として保険医療機関等の指定は受けていないものであるが,旧医療機関等において既に届出が受理されていた施設基準であって,新医療機関等においても当該要件を満たしているものとして地方厚生(支)局ごとに定められた期日までに届出が行われたものに係る診療報酬及び調剤報酬は,新医療機関等において引き続き遡及指定日から算定できるものとする。
    •  旧医療機関等では届出がされておらず,新医療機関等において新たに届出をされた施設基準のうち,届出を行うに当たって実績を要しない施設基準
      • 「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発 0305 第7号。以下「基本診療料通知」という。)及び「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発 0305 第8号。以下「特掲診療料通知」という。)に掲げる届出を行うに当たって実績を要しない施設基準の診療報酬については,施設基準の要件を満たしているものとして定められた期日までに届出があり,要件審査を終えた場合に限り,遡及指定日の属する月から算定できるものとする。
    •  旧医療機関等では届出がされておらず,新医療機関等において新たに届出をされた施設基準のうち,届出を行うに当たって実績を要する施設基準
      • 基本診療料通知及び特掲診療料通知に掲げる届出を行うに当たって実績を要する施設基準の診療報酬については,旧医療機関等における実績を基本診療料通知及び特掲診療料通知の「第2 届出に関する手続き」における実績として取り扱った上で,アと同様,施設基準の要件を満たしているものとして定められた期日までに届出があり,要件審査を終えた場合に限り,遡及指定日の属する月から算定できるものとする。
      • なお,旧医療機関等において当該実績を有していない場合は,基本診療料通知及び特掲診療料通知のとおり,新医療機関等において届出にあたり実績を有していることが必要となる。

2.保険医療機関の廃止を伴わず診療機能の移転を行う場合における例外的な取扱い(機能移転)について

  •  対象となる事例
    •  保険医療機関の廃止を伴わず診療機能(施設基準の届出を要するものに限る。)の移転(以下「機能移転」という。)を行う場合は,新たに当該機能を担う保険医療機関(以下「移転先医療機関」という。)が,通常の手続きにより新たに施設基準の届出を行うこととなるが,特に移転先医療機関が希望し,機能移転前の保険医療機関(以下「移転元医療機関」という。)の施設基準の辞退をする日と原則として同日(以下「機能移転日」という。)付で施設基準届出を行う場合であって,一定の基準を満たす場合は,例外的に,移転元医療機関の実績要件を引き継いで,機能移転日から当該施設基準に係る診療報酬の算定を行うことができる。

  •  機能移転を希望する場合の申請手続
    •  機能移転の可否は,慎重に判断する必要があることから,以下の手続きとするよう,管内の保険医療機関に周知すること。
    •  なお,各手続きの期限及び必要書類の詳細については,地方厚生(支)局ごとに適切に定めること。
<申請手続き>
  • 機能移転を希望する移転先医療機関の開設者は,原則として機能移転を希望する日の3か月前までに,地方厚生(支)局に届出を行い,事前相談を行うこと。
    [必要書類]
    •  「別紙2-1」の予定届出書

  • 機能移転を希望する移転先医療機関の開設者は,必要書類を地方厚生(支)局に提出すること。
    [必要書類]
    •  「別紙2-1」の届出書
    •  届出を希望する施設基準の届出様式

  • 移転元医療機関の開設者は,希望する機能移転日に施設基準の辞退に係る届出を行うこと。
    [必要書類]
    •  施設基準に係る辞退届
  •  機能移転の可否の判断について
    •  機能移転の可否の決定に当たっては,
      • 移転元医療機関から移転先医療機関に移転する診療体制・機能が,一連のものとして認められるか
      • 第三者の権利関係に与える影響の観点から妥当であるか
        等の観点から,個別事例の具体的な状況を踏まえて総合的に判断する必要があり,機能移転については,地域医療に与える影響の観点を含む慎重な判断を要するところであるが,保険医療機関の経営上の予見可能性の確保と,全国統一的な運用を推進するため,以下の基準により判断することとする。
    •  なお,以下の判断基準を満たさない事項がある事例については,機能移転は原則として認められないこととするが,例外的な事例が生じた場合については,各地方厚生(支)局において,個別具体的な状況を踏まえて総合的に判断すること。

  •  機能移転が認められる場合における施設基準の取扱いについて
    •  移転元医療機関において届出が受理されていた施設基準
      • 機能移転が認められる場合,診療実態が変わらないため,指定を遡って行う遡及指定と同等の状況にあるものとして,遡及指定の趣旨を準用する。
      • 具体的には,移転元医療機関において既に届出が受理されていた施設基準であって,移転先医療機関においても実績要件以外の要件を満たしているものとして定められた期日までに届出が行われたものに係る診療報酬は,移転先医療機関において引き続き機能移転日から算定できるものとする。
    •  移転元医療機関では届出がされておらず,移転先医療機関において新たに届出をされた施設基準のうち,届出を行うに当たって実績を要しない施設基準
      • 基本診療料通知及び特掲診療料通知に掲げる届出を行うに当たって実績を要しない施設基準の診療報酬については,施設基準の要件を満たしているものとして定められた期日までに届出があり,要件審査を終えた場合に限り,機能移転日の属する月から算定できるものとする。
    •  移転元医療機関では届出がされておらず,移転先医療機関において新たに届出をされた施設基準のうち,届出を行うに当たって実績を要する施設基準
      • 基本診療料通知及び特掲診療料通知に掲げる届出を行うに当たって実績を要する施設基準の診療報酬については,移転元医療機関における実績を基本診療料通知及び特掲診療料通知の「第2 届出に関する手続き」における実績として取り扱った上で,アと同様,施設基準の要件を満たしているものとして定められた期日までに届出があり,要件審査を終えた場合に限り,機能移転日の属する月から算定できるものとする。
      • なお,移転元医療機関において当該実績を有していない場合は,基本診療料通知及び特掲診療料通知のとおり,移転先医療機関において届出に当たり実績を有していることが必要となる。

3. 留意事項

  •  歯科診療所にあっては,「診療所」を「歯科診療所」に,「医師」を「歯科医師」にそれぞれ読み替えて適用するものとすること。
  •  上記1.及び2.に係る施設基準の届出については,新医療機関等又は移転先医療機関において,再度又は新たに届出を要する場合は,基本診療料通知及び特掲診療料通知等に基づき適正に取り扱うこと。
  •  遡及指定は,1つの保険医療機関等の廃止と1つの保険医療機関等の開設を伴う事例について認めることが原則であるが,複数の保険医療機関等が関係する事例等,これに該当しない事例についても,地医協で認められた場合には,遡及指定を行うことができることに留意し,柔軟に対応すること。
  •  機能移転は,1つの保険医療機関から1つの保険医療機関に診療機能を移転する事例について認めるのが原則であるが,2つ以上の保険医療機関で機能移転する事例や,保険医療機関の廃止を伴って機能移転を行う事例等,これに該当しない事例についても,機能移転を行うことができることに留意し,柔軟に対応すること。
  •  遡及指定の場合において,旧医療機関等が DPC 対象病院であり,新医療機関等が DPC 対象病院の継続参加を希望する場合は,「DPC 制度への参加等の手続きについて」(令和8年3月 27 日保医発 0327 第1号)に基づき,別途,手続を行う必要があることに留意すること。
  •  遡及指定又は機能移転を希望する保険医療機関等の地方厚生(支)局への申請手続きについては,令和8年9月1日以降,本通知に基づいて行われるよう,管内の保険医療機関等に対し順次周知を行い,必要な事前相談等を行うこと。

別紙1(病院・診療所・薬局用)

保険医療機関等が遡及指定を希望する場合における要件の確認書類
(至近の距離への移転又は開設者のみの変更の場合)

医療機関・薬局の名称

2026年7月1日号TOP