勤務医通信

ドラセナくんとともに

京都桂病院
大久保 和俊

 2025年4月に前院長の若園先生から引き継ぎ,京都桂病院の院長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。このたび勤務医通信への執筆の機会をいただきました。「どんな内容でもよい」とのご指示に甘え,少しでも皆さまの癒しになればと,肩の力を抜いた文章を書かせていただきます。
 着任初日の院長室には,一鉢の観葉植物が置かれていました。若園先生からいただいたドラセナ・マッサンギアナ,いわゆる「幸福の木」です。当時,当院の経営状態は物価高や人件費の高騰もあり,決して楽観できる状況ではありませんでした。これはきっと「良い経営状態になりますように」という先生の思いが込められた贈り物なのだろう,と感じたものです。となれば,なおさら枯らすわけにはいきません。

ドラセナの花

 とはいえ,植物の育成にはまったく知識がなく,ものを言わぬ相手ゆえ興味も湧きにくい。そんな状態で,思いついたときに3~4日に1回水をやっていると,だんだん葉の色が茶色くなってきました。これはピンチです。
 調べてみると,「水はやりすぎないように。土の表面が乾いたら与えること」とあります。どうやら過保護にしすぎていたようです。水やりを控え,さらに自前で購入した肥料を与えると,葉の数が増え,色艶も良くなり,ぐんぐん成長していきました。
 ちょうどその頃から,病院の経営状態も徐々に上向きになり,月次で前年度同月を上回る収支を示す月が出てきました。ドラセナ君の健康状態は,病院の健康状態と正の相関を示していることが判明し,ますます大切にするようになりました。
 そんな2月のある日,葉の間から何か伸びているのに気づきました。1週間ほどでつぼみのようなものができ,ついに花が咲いたのです。調べると,ドラセナは「4~10年に一度しか花をつけない」とのこと。たまたまとはいえ,なんともおめでたい出来事でした。当院の公式インスタにも写真を載せていますので,ぜひご覧ください。
 なお,「花が咲き終わったら花茎を切り落とすこと。本体に負担がかかるため」と書かれていました。しかし欲深い私は,「実がなってタネができたらおもしろい」と思い,耳かきのふさふさで授粉の真似事までしてしまいました。残念ながら実はなりませんでしたが,本体は無事に元気です。
 この4月で院長就任から1年が経ちました。若園先生から「院長業は長くやらないと思い切ったことができないよ。ぜひ頑張ってください」と言われたことを,改めて思い出しています。ドラセナは「長寿の木」としても知られ,樹齢数千年に及ぶものもあるそうです。ここにも先生の意図が込められていたのかもしれません。
 とはいえ,さすがに数千年の院長業は無理です。そう思っていたところ,購入した肥料が計算違いで“約45年分”あることが発覚しました。もちろん45年も院長を続けることはありえませんが,病院が良い状態で長く安定していくよう,引続き努めてまいりたいと思います。

Information
病 院 名  京都桂病院
住   所  京都市西京区山田平尾町 17 番
電話番号 075-391-5811
ホームページ https://www.katsura.com/index.html

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