2025年4月15日号
福知山医師会と府医執行部との懇談会が2月 22 日(土),福知山医師会館で開催され,福知山医師会から 11 名,府医から6名が出席。「薬剤の供給不足」をテーマに議論が行われた。
※この記事の内容は2月 22 日現在のものであり,現在の状況とは異なる場合があります。
厚生労働省の「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」(令和6年11月から令和7年2月開催分)で示された医薬品全体における製造販売業者の対応状況に関する調査結果では,供給停止の品目数が増加するとともに限定出荷・供給停止が20%におよび,その要因として,自社の事情や他社品の影響によるとされ,状況に改善の兆しは見られないことが示されている。
また,医療用医薬品の安定供給体制の強化のために,「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」が検討されており,製造販売業者の安定供給体制の整備を図るとともに,厚生労働大臣が供給不安を迅速に把握し,安定供給確保措置の指示を出すことなど,平時と有事の際の対応が規定される見込みだが,即効性は期待できない。
なお,府医では現在,医薬品の供給状況に係るアンケート(結果概要を本誌に掲載)を実施しており,実情を把握した上で,現場の声を日医や国に届けるとした。
〜意見交換〜
意見交換では,医療政策と経済状況の影響,医療制度の持続可能性,医薬品供給の問題と政府の失策,メディア戦略など多岐に渡る議論が行われた。
地区から,令和6年度診療報酬改定は実質的にマイナスに近い改定ではないかとの考えが示されるとともに,経済成長の停滞と円安,物価上昇により,医療機関の赤字が深刻であることが指摘され,医療界として声を上げる必要性が訴えられた。
さらに,医療政策の問題点と政治状況について触れ,与党と野党の役割,医療費抑制政策の是正が必要であることなどについて議論がされた。
また,高齢化率の上昇と生産年齢人口の減少や,民間保険の導入,保険給付範囲の見直しなど,現在のいつでもどこでも誰でも安心して受診できる国民皆保険制度の持続可能性が脅かされている危機感が国民に伝わっていないことが問題視され,国民を巻き込んだ議論の必要性が強調された。
医薬品供給の問題については,具体的な解決策が提示されておらず,表面的な対策しか行われていないとの指摘がされた。さらに,後発医薬品を強引に推進してきた国の失策は明らかであるとの意見が出された。
その他,医師会の立場を広めるために,SNSやYouTubeなどのメディアを活用し,世論を味方につけることが必要ではないかなどの意見もあった。
最後に,医療政策に影響を与えるためには,医師会の組織力強化と医政活動の重要性が確認された。