令和7年度 産業医部会総会7カ所の地区医(サテライト会場)へ中継

 府医は,3月7日(土),令和7年度府医産業医部会総会を府医会館(3F,2F)と7カ所のサテライト会場で開催。総会の出席者は府医会館120名,サテライト会場では東山医師会7名,伏見医師会15名,相楽医師会14名,福知山医師会14名,舞鶴医師会5名,与謝医師会7名,北丹医師会6名の合計188名であった。

森口 府医理事

 冒頭,府医産業医部会長の代理として森口府医産業保健担当理事が挨拶し,会員各位の産業医活動における尽力に対し謝意を表した。続いて,角南京都労働局長の代理として小笠原労働基準部長より祝辞が述べられた。

司会 西村 副幹事長

 「令和7年度産業医部会事業報告」では,森口府医理事から令和7年度の産業医部会幹事会,正副幹事長会の活動および研修会の開催実績について報告。令和7年度には京都府内で64回の産業医研修会が開催され,2月末現在,延べ2,461名が参加した。
 続いて森口府医理事より「ストレスチェック義務化への準備状況」について報告。令和7年5月の労働安全衛生法改正により,これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの義務化が決定し,実施に向けて検討が進められている。ストレスチェック後の医師の面接指導においては,地域産業保健センターによる実施が想定されていることに触れ,厚生労働省のマニュアルなどを紹介しながら多くの登録産業医の関与に期待を示した。

京都労働局健康安全課
宇野 課長

 その後,京都労働局健康安全課,宇野課長より「労働安全衛生行政の動向と課題」と題した講演が行われた。労働災害発生状況では,死亡災害は長期的に減少傾向であるものの,休業4日以上の死傷災害は,下げ止まりから増加に転じていると報告。また,化学物質の自律的管理,SDS(安全データシート)についても取り上げられ,労働基準監督官として事業場を指導する際のポイントについて解説の上,事業場においては産業医がSDSを確認することの重要性が説明された。

東京大学 名誉教授
川上 憲人 氏

 特別講演では,東京大学名誉教授,川上憲人先生より「人的資本経営・ウェルビーイング経営と産業保健の役割」と題した講演が行われた。川上先生は,社会背景として労働力人口の減少と人手不足を挙げた上で,企業は労働者に選ばれる存在となる必要があり,そのために経営として産業保健に取組む必要があるとの見解を示した。その具体的な観点として,健康経営,ウェルビーイング経営,人的資本経営が挙げられた。従業員のウェルビーイングとは身体的,精神的,社会的に良好な状態に加え,個人の権利や自己実現が保障されている状態と定義される。これを高めることにより,従業員の定着や生産性の向上が期待され,産業医が関わる取組みが重要となる。また,人的資本経営とは人材を資本として捉え,その価値を最大限に引き出すことで,中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方であると説明。今後,上場企業では人的資本情報の開示が推進され,開示基準には労働安全衛生が含まれることから,経営における産業保健への期待は一層高まると考えられると述べ,そのような環境において産業医は,労働安全衛生,健康リスク管理が軽視されないよう認識し,経営者,従業員との対話を促進するとともに,医師としての倫理観,プロフェッショナリズムに基づき活動することが重要との見解を示した。

特別講演 座長
古木 幹事長

2026年4月15日号TOP