2020年2月1日号
下京西部医師会と府医執行部との懇談会が10 月19 日(土),府医会館で開催され,下京西部医師会から9名,府医から8名が出席。「介護保険認定・介護認定調査の外部委託」,「診療報酬改定と妊婦加算」,「7月から個別接種になったBCG」をテーマに活発な議論が行われた。
最近,介護保険の認定が厳しくなっているとの指摘について,要介護認定方法の変更の経緯を説明した。2009 年の改定で,全国平準化,客観性を高めることなどを理由に,①一次判定のロジックを変更,②認定調査項目の削減,③調査基準の変更などの改定が行われたが,判断基準の変更にともない「軽度」に判定されるケースが増加し,検証の不十分さなどの批判が噴出した。厚労省は,経過措置や認定調査員のテキストを再修正し,軽度化の傾向はある程度改善された。それ以降,認定方法についての変更は行われていない。認定調査の外部委託については,認定調査を受託している関係団体は研修を行い調査員の質の向上を図っており,ばらつきはそれ程ないのではないかとの私見を示した。二次判定で介護度の変更するためには,訪問調査の特記事項と主治医意見書であり,改めて主治医意見書の重要性を強調した。
京都市は2020 年度から,介護保険に関する事務作業の一部を民間に委託する方針を示している。府医とてしては,京都市に対して,医師会,医師が深く関与している認定審査会の運営や,主治医医意見書に関係する区や市との連携について,質の低下を生じることが無いように強く申し入れていると説明した。地区で何か問題があれば府医に情報提供をお願いした。
健保連の指摘を受けて,厚労省が市販類似薬(湿布やビタミン剤)の保険からの除外や自己負担増の検討に入ったとの報道に対しては,中医協で松本日医常任理事が事実確認を行い,厚労省が明確に否定している。
第1ラウンドでは,下記の2点について,論点整理が行われた。
その中で特に議論となった点は,「かかりつけ医機能充実」,「働き方改革と医療のあり方」,「オンライン診療」などである。
医療機関間の適切な役割分担を図る観点から,かかりつけ医機能を有する医療機関における初診機能や地域包括診療科等の施設基準の緩和を充実させる必要がある。
機能強化加算について,健保連は「患者をかかりつけ医に誘導するということであれば機能強化加算は違う。1回しか受診していないような患者にも算定するのはおかしい」と主張。日医は「地域包括診療加算の届け出が条件となっていることや体制を評価する点数である」と強く反論している。
働き方改革と医療のあり方について,診療側から「働き方改革により医療従事者の勤務体系が変わり,人件費等の増加が見込まれるため,入院基本料のあり方を検討する必要がある」,「人員等の配置にかかわる要件の見直しについては,医療提供体制の質の確保に配慮しつつ,より弾力的な運用が可能となるような見直しについて検討する必要がある」と主張。一方,支払側からは「入院基本料の議論以前に,非効率な医療がないか検証する必要がある」,「医師の働き方改革にともなって追加的に生じるコストを患者が負担することについては非常に違和感を覚える」と平行線の議論となっている。
医療におけるICT の利用について,診療側は「医療にどうしてもアクセスできない場合にオンライン診療が活用されるべきであり,利便性のみに着目した議論には慎重であるべき」,「オンライン診療が対面と同等であるかどうかのエビデンスが必要」と主張。支払側は「働く世代の治療の脱落防止など,仕事治療の両立のために,オンライン診療の要件を適切なものに見直す方向で検討する必要がある」との意見である。
日医社会保険診療報酬検討委員会では,次期診療報酬診療報酬改定に向けた最重要項目の一つとして,薬価引下げ財源を診療報酬本体に戻すことを主張している。
妊産婦が受診する際の負担が,これから子どもをほしいと思う人にとって,ディスインセンティブとならないようにすることが必要であり,他の受診者との均衡や政策効果といった点を勘案し,「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」において検討される。
なお,妊産婦の診療において,質の高い診療やこれまで十分に行われてこなかった取組みを評価・推進することは必要であり,具体的な要件や名称等については,中央社会保険医療協議会で議論を行うことになる。
また,府医では,京都府に対して,妊産婦医療費助成制度の創設を求めており,妊産婦診療における妊婦や胎児への影響を考慮した診察に対する評価は,診療報酬上で適切に評価されるべきものであり,妊産婦の負担を軽減する仕組みは必要である。
全国的に個別接種で行う行政が増加傾向にあることから,京都市では,平成29 年7月から集団接種と個別接種の併用を開始し,令和元年7月から完全に個別接種へ移行した。
BCG の予防接種は特別な留意点が多いことから,実施する場合は「BCG 個別予防接種に係る研修会」を受講した医師が医療機関に在籍していることが必須条件となっている。
なお,新規開業や医師の退職などのタイミングにより,1年近く接種できない場合もあるとしつつも,BCG 接種の特殊性を鑑み,ビデオ学習などを認めることは難しいとの見解を示した。
さらに,近年,小児定期接種の対象となる予防接種が増えたことで接種期間の管理等が複雑化しているため,不適切接種や予防接種の事故件数が増加傾向にある。そのため,接種医の質の向上を目指して,研修会の充実を図るとともに,小児定期予防接種の実施条件として研修会の受講を必須とするなどの方策を検討する。