2026年9月1日号
7月18日(土),各専門医会長との懇談会が京都ブライトンホテルで開催され,専門医会から17名,府医から24名が出席。松井府医会長の挨拶に続き,専門医会長および府医役員の自己紹介が行われた。
今回は,日医より城守国斗副会長を講師に招き,「令和8年度診療報酬改定と面としてのかかりつけ医機能」をテーマに議論が行われた。
日本医師会 副会長 城守 国斗氏
かかりつけ医機能報告について,改めて制度の趣旨とその重要性を説明するとともに,令和8年度診療報酬改定に至る議論の経過等について解説し,今後の議論の方向性等を見据え,医師会の組織強化を図ることの重要性を訴えた。
かかりつけ医機能報告は医療法に定められた報告であって,医療機関の義務であるとした上で,「1号機能あり」の考え方について改めて説明。「1号機能あり」と報告するための必須項目となる報告内容は,「院内掲示」,「診療領域」,「相談体制」であり,まず「院内掲示」については,G-MISで自動的に作成されたものを印刷して院内のどこかに掲示すればよく,「診療領域」に関しても,17の診療領域から選択するため,いずれかの診療科はチェックを入れることができるとして,いずれも「あり」となることを解説した。一時診療が可能な「診療領域」は,必ずしも自院で診療を完結しなければならないわけではなく,連携で対応している現在の診療スタイルで十分に「あり」とできるとの見解を示した。
「相談体制」について,「1号機能なし」と報告した多くの医療機関が,この項目を「なし」としていたことを紹介した上で,特別な相談の「体制」は必要なく,診療を行う中で患者の相談に対応している現在の状況で「あり」とすることができると説明した。
財務省が,1号機能を有しない医療機関については,初診・再診料の減算を行うべきと主張していることにも言及し,かかりつけ医機能報告制度では,現在行っている診療の状況を報告すれば,ほぼすべての医療機関が「1号機能あり」となる建付けであるとして,上述の項目を満たせば同制度上はかかりつけ医機能ありとなることを強調し,財務省にこういった主張をさせないためにも,「1号機能なし」と報告した医療機関は,今一度,上記3項目を見直し,本年中に「あり」に修正報告をするよう呼びかけた。
京都府における2026年6月15日現在のかかりつけ医機能報告の報告率は70%弱(全国平均:79.66%)で,さらなる報告率のアップが求められる一方で,うち「1号機能あり」が73.9%(全国平均:57.9%)と全国でも高位にあることを報告した。報告率によっては,財政当局の主張する方向性に向かうことも懸念されるため,さらなる報告率のアップに期待を示した。
かかりつけ医機能報告は,地域のかかりつけ医機能を可視化することで地域の外来機能の弱点を把握し,地域を面で支えるかかりつけ医機能の補強・強化を図ることを目的としており,そのためにはより多くの医療機関の参加が必要であると訴えた。自身で診られないものは地域で連携して対応している現在の医療提供体制は,すでに地域を面として支えており,その体制を維持していくための制度であると説明し,理解を求めた。
令和8年度診療報酬改定では,令和7年5月に財務省・財政制度等審議会が公表した「春の建議」において,病院の利益率に対して無床診療所の利益率が高いというデータが示されたことを受けて,最終的に+3.09%のうち多くは病院に配分されたことを例に挙げ,「春の建議」はその後の「骨太の方針」に影響を及ぼし,「秋の建議」は次年度の予算編成の指針となるため,その注目度が高くなっていると指摘。令和4年度以降,厚生労働大臣と財務大臣の折衝による項目指定が増えており,処置や医学管理など「技術料」にあたる本体部分の財源は削られてきている印象であると述べ,本来であれば改定率が決まった後の配点については中医協で議論されるべきものであるとして,中医協の形骸化を図る動きに懸念を示した。
昨年度の「春の建議」には,地域包括診療料・加算や外来管理加算,機能強化加算についても統合や包括化,廃止を含めた見直しを図るべきと記載されたものの,今回の改定で最終的に死守できたのは,財源が確保されたためであると述べ,今後も財源次第では維持が難しくなるとした。また,生活習慣病患者の疾病管理や処方箋料のあり方の他,リフィル処方の推進に向けた取組みについても言及されていることについて触れ,近年は,算定の間隔を長くする,あるいはリフィル処方を推進して再診の回数を減らそうという意図が見てとれると述べ,財務省の戦略として,点数自体を引下げることから患者の受診回数を減らす方向へとシフトしてきていると指摘。今後も受診回数を減らす方策をうってくる流れは続くとして警戒感を示した。
また,ベースアップ評価料について,今後も診療報酬上の加算の算定や,物価高騰対策や職員の処遇改善に係る補助金を受ける際には,同点数を算定していることが要件となってくることが予想されるため,より多くの医療機関において届出を行うよう呼びかけた。一方で,パート職員が多い医療機関では,いわゆる「103万円の壁・130万円の壁」の問題があり,ベースアップ評価料の算定が難しい事情もあることから,次回の診療報酬改定では,そういった医療機関への対応を求めていく考えを示した。
中医協の状況や財政当局の狙いなどを踏まえると,制度設計あるいは診療報酬上においても影響が大きい「かかりつけ医機能」については,「1号機能あり」と報告することが重要であると強調するとともに,施策が決定される過程において政治的な影響が大きい現状では,改めて医師会の組織率が重要であると強調。医師会が医療を代表する団体として,その意見が医療者の総意であることを示すためには,少なくとも50%以上の組織率を維持する必要があるとして,各専門医会の会員の先生方に日医までの入会を促すよう理解と協力を求め,講演を締めくくった。
~意見交換~
その後の意見交換では,専門医会より,今回の診療報酬改定では200例以上のロボット手術を扱う施設に加算が新設されたものの,算定できるのは一部の専門的な施設に限られると指摘があり,2040年に向けた新たな地域医療構想に関連して,今後の医療提供体制の方向性として,国は高度医療について症例や医師を集約化させていく意向か,との質問が上がった。
城守日医副会長は,地域医療構想の観点から「集約」という考え方と,診療報酬の「財源」に基づいて判断されていると説明し,今回の診療報酬改定では医療技術に対する評価が+0.25%というわずかな財源しか認められていないところに問題があるとした。また,今後の地域医療構想や医療計画の見直しの中で,各地域の医療提供体制が機能するのかどうかによって,この「集約」の考え方は変わってくるとの考えを示した。
また,長期収載医薬品の選定療養について,相次ぐ先発品の製造中止の影響を受けて後発品も供給不全に陥る共倒れの状態にあるとして,必要な医薬品の安定供給についても日医から訴えてほしいとの要望に対し,城守日医副会長は,医薬品の安定供給に対する厚労省の取組みが十分に機能していないとの認識を示した上で,基礎的医薬品の安定供給については国としてもセーフティネットとなるため,財政支援や税制優遇を含めた製薬会社への支援が必要であると指摘し,厚労省が策定した安定供給に資するガイドラインにある対応が実効性のあるものとなるよう日医として取組みを進めていく意向を示した。
その他,リフィル処方への対応に関する質問や,総合診療医でなくともかかりつけ医として在宅医療や看取りに取組む現状の診療所の役割が維持・継続されるべきといった意見が上がるなど,活発な議論が行われた。