勤務医通信

地域に必要とされ続ける「コンパクトな高機能病院」を目指して

綾部市立病院 病院長
井伊 庸弘

 府医の皆様はじめまして。綾部市立病院の井伊と申します。2026年4月に病院長を拝命し,前任の志賀浩治先生から勤務医部会幹事を引き継ぎました。今後ともよろしくお願いいたします。
 このたび勤務医通信に寄稿する機会をいただきましたので,綾部市の魅力と地域医療を担う市立病院についてご紹介させていただきます。
 京都府の中央北寄りに位置する綾部市は,豊かな里山や由良川の清流,四季折々の花々が美しい景観を織りなす,山紫水明の田園都市です。市内には,季節ごとに趣の異なる風景を楽しめる場所が数多くあります。なかでも,私が特に美しいと感じているのが,水源の里・老富地区にあるシャガの群生地です。森の中に,見渡す限り広がる純白のシャガ。その可憐な花々が一面を埋め尽くす光景は,まさに「神秘の森」と呼ぶにふさわしく,訪れる人を幻想的な世界へと誘います。
 市内には,ものづくりを中心とした,多様な産業が根付いています。なかでも,グンゼ発祥の地として,かつて養蚕・生糸業によって栄えた歴史は,このまちを語る上で欠かすことができないものです。現在も登記上の本店(綾部本社)を市内に置き,創業当時の繭蔵を活用した産業資料館や観光施設などが整備され,往時の面影とともに,その歩みを今に伝えています。
 綾部市はまた,舞鶴若狭自動車道と京都縦貫自動車道,そしてJR山陰本線と舞鶴線が市域で交わる交通の要衝でもあり,京阪神地域や日本海地域からのアクセスにも恵まれています。京都市内からは車で約1時間15分,JR特急を利用すれば約1時間で訪れることができる,実は意外と身近な北部のまちです。
 綾部市立病院が開院したのは平成2年8月1日です。長年地域医療に貢献してきたグンゼ病院(設置者:グンゼ株式会社)の閉院を受け,その役割を引き継ぐ形で綾部市が開設しました。市立病院設立前の綾部市では,入院治療を必要とする患者さんの多くが福知山市や舞鶴市,京都市など,市外の医療機関を利用していました。また,地域全体としても診療科が十分にそろっておらず,救急輪番を担う医療施設もない状況でした。そのため,救急患者が近隣市の病院へ搬送されることも少なくなく,急性期医療や専門的な医療を担う体制は十分とはいえない状況にありました。こうした医療環境を背景に,市民の間では地域の中核となる公的な総合病院の設立を望む声が次第に高まってきたようです。
 そうした市民の期待を受け,当院は病床数150床,13診療科を有する一般病院として開院しました。開院初日の入院患者は,グンゼ病院から引き継いだ6名の方のみであったと聞いています。その後,施設整備や病床機能の見直しを重ね,現在では199床(一般急性期病床149床,地域包括ケア病床50床),22診療科を備える地域密着型の病院へと歩みを進めています。
 当院は,病院理念として“患者さま本位の医療に努め,地域社会から愛され,親しまれ,心あたたまる病院をめざします”を掲げ,開院以来,綾部市唯一の公立病院として,救急医療および急性期医療を担ってきました。決して大規模な病院ではありませんが,各診療科に専門医を配置し,心臓血管外科,脳神経外科,重度外傷など一部の高度専門的な診療を除き,多くの疾患について当院で診療を完結できる体制を整えています。これからも,地域のニーズに応えながら,持続可能な運営を実現する「コンパクトな高機能病院」を目指し,救急医療体制の充実,生活習慣病への対応,癌の診断と治療,小児から高齢者医療への対応,地域医療連携の推進を基本方針として,綾部市をはじめ周辺地域の皆さまに安全で質の高い医療を提供できるよう努めてまいります。

Information
病 院 名  綾部市立病院
住   所  綾部市青野町大塚 20-1
電話番号  0773-43-0123
ホームページ https://www.ayabe-hsp.or.jp/

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