2026年10月1日号
8月29日(土),日医シンポジウム「未来ビジョン“若手医師の挑戦”in KYOTO」が,府医会館において開催された。
日医では,令和5年度より日々の診療に加えて多方面で活躍する若手医師の取組みを通じ,これからの医療のあり方や医師のキャリアについて考えるシンポジウム「未来ビジョン“若手医師の挑戦”」を開催している。今年度からは新たに地方版がスタートし,その第1回の開催地として京都府が選ばれた。
今回のシンポジウムは,府医がこれまで若手医師とともに取組んできた,世代や立場,施設,診療科の垣根を越えて医師が集い,互いの知識や経験を持ち寄りながら研鑽する「学び,つながり,高め合う」取組みを,全国に発信する機会となった。
当日は,府医会館での現地参加に加え,都道府県医師会からのZoom参加,日医公式YouTubeチャンネルによるライブ配信も実施。3つの参加方法を合わせて400名を超える参加者が集まり,全国から大きな関心が寄せられた。
第1部では,府医屋根瓦ワーキングチームの大阿久達郎先生(京丹後市立弥栄病院内科部長)が登壇し,「普通の内科医,地域医療に沼る」をテーマに講演した。
府北部の地域医療の現場で診療に携わる大阿久先生は,自身のキャリアや地域医療との出会い,日々の診療で感じることなどを,豊富な経験を交えながら紹介した。自身の経験を振り返りながら語られた言葉の一つひとつからは,地域医療の「やりがい」や「魅力」という一言では語り尽くせない,地域で人と向き合う医師の姿が伝わってきた。
教科書には病気が,地域医療には人生が載っている―医学的な知識だけでは捉えきれない,その人の暮らしや家族,地域とのつながりまで含めて患者さんと向き合う。大阿久先生の言葉からは,地域医療の奥深さと,そこに携わることの魅力が丁寧に伝えられた。
また,府医屋根瓦ワーキングチームの取組みとして,医局や病院の垣根を越えて研修医を指導する「臨床研修屋根瓦塾KYOTO」についても紹介された。研修医として学んだ側が,やがて指導する側となり,次の世代へ知識や経験を伝えていく。特定の施設や診療科に偏ることなく,多くの医師が集うことのできる「医師会」の存在意義が改めて示された。
-京都府が誇るエース指導医がここにきて○○について学び直してみた―
第2部では,京都医学会の人気企画として親しまれている「Re-1グランプリKYOTO」を開催した。
「Re-1グランプリ」は,若手指導医がそれぞれの専門分野について,いま一度学び直し,その成果を7分間で参加者に伝えるプレゼンテーション企画。今回も7人の指導医が登壇し,それぞれ趣向を凝らしたテーマで,専門的な内容を分かりやすく,興味深く紹介した。限られた時間に凝縮された発表はどれも熱がこもっており,会場からは笑いや拍手が起こるなど,大いに盛り上がった。

発表終了後には,会場の参加者とライブ配信視聴者によるオンライン投票を実施。その結果,「Re-Education Award 日医」(優勝)には京都第二赤十字病院脳神経内科の小椋史織先生,「Re-Education Award 京都」(特別賞)には京都大学医学部附属病院医療安全管理部の加藤果林先生が選ばれ,池端日医副会長,松井府医会長からそれぞれ賞が贈られた。
今回のシンポジウムでは,府医がこれまで育んできた,世代や施設,診療科を越えて,それぞれの経験を持ち寄り,学び合うことの大切さを共有するとともに,単なる「教育」の枠を越えた,医師同士のつながりと研鑽の場としての医師会の持つ可能性を全国に発信する機会となった。
なお,当日の模様は日本医師会公式YouTubeチャンネルにて配信中。
京丹後市立弥栄病院 内科部長/京都府医師会屋根瓦ワーキングチーム
大阿久達郎 氏
司会:京都府立医科大学 総合医療・地域医療学
京都府立医科大学 京都府小児地域医療学講座
松原 慎 氏
松村うつき 氏
コメンテーター:
京都大学医学部附属病院 総合臨床教育・研修センター
康生会武田病院 循環器内科 /Re-1 グランプリ 2023優勝
京都済生会病院 腎臓内科 /Re-1 グランプリ2024 優勝
医療法人双樹会 /Re-1 グランプリ2025 優勝
和足 孝之 氏
瀧上 雅雄 氏
原 将之 氏
守上 佳樹 氏
発表者:
①「患者さんの足を治し 自分の足は酷使 公私ともに走り続ける循環器内科医がここにきて心不全の運動療法と栄養療法について学び直してみた」
京都田辺中央病院 循環器内科 杉本 健氏
②「20万部ベストセラー『すばらしい人体』の著者である消化器外科医がここにきて外科解剖と手術について学び直してみた」
京都大学医学部附属病院 消化管外科 山本 健人氏
③「京都府総合診療界の生真面目な麒麟児 京都府北部の地域医療を愛する家庭医がここにきておとなのワクチンについて学び直してみた」
市立福知山市民病院 総合内科 稲葉 哲士氏
④「施設初代ベスト指導医賞受賞者である脳卒中専門医がここにきてTime is Brainについて学び直してみた」
京都第二赤十字病院 脳神経内科 小椋 史織氏
⑤「大学病院の業務と日課のランニングで息切れしている救急医がここにきて呼吸困難について学び直してみた」
京都府立医科大学 救急医療学 武部弘太郎氏
⑥「毎日のように「眠れない」を聞いてきた精神科医がここにきて自分なら飲むであろう睡眠薬について学び直してみた」
京都府立医科大学 精神機能病態学 渡辺 杏里氏
⑦「インシデント検討ばかりしてきた医療安全管理者がここにきて99.9%の『成功の理由』について学び直してみた」
京都大学医学部附属病院 医療安全管理部 加藤 果林氏